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神戸の野鳥 02月~03月の見どころ

 この季節、ぜひ見ておきたいものを中心に紹介します。
 まだまだ寒い日が続いています。森は見通しが良く、初心者でも山の鳥を見つけやすい季節です。穏やかな日を選び、暖かい格好でバードウォッチングに出かけましょう。

■残り少ないこの冬、絶対に見ておきたいもの
 今シーズンはアトリ科の鳥たちが多く渡来しているのはお伝えしてきた通りです。その中でもぜひぜひぜひ見ておきたいのが…イスカ
多く渡来することは稀で10年に1度あるかないかのチャンスといえます。今シーズン見逃せば次に六甲山地に多く渡来するのはいつになることやら。全国的に見れば毎年どこかには来ているので、どうにもチャンスがなくなるわけではありませんが、地元のフィールドで見るのに残された時間はそう多くありません。
 ではどうすれば見られるのか。残念ながら100%確実な方法はありません。いたよという情報をきいたときに、すぐであれば同じところにいる確率は高いと思いますが、餌を求めて大きく動くので一週間もたてば難しくなります。

ベニヒワ 2018/02/25 神戸市東灘区本山町

 アドバイスとしては六甲山地の標高の高いところ(摩耶山~最高峰にかけて)の尾根筋を歩いてみましょう。少しでも多く、長くフィールドにいることが出会う確率を高くします。もちろん今シーズン観察された場所の周辺は確率が高いと思います。ポイントは餌となるマツ(過去にはスギやヤシャブシの種子を食べているのを見たこともあります。)、イスカがマツの種子を食べているときにマツボックリをちぎるので、たくさん落ちていたり、上から落ちてくるのがフィールドサインになることがあります。20~30羽くらいの群れでいることが多く、採餌中は静かですが飛び立つときに「チュチュチュチュ」といった感じで結構大きな声で鳴きます。3月までは十分にチャンスがあります。ぜひ、イスカ探しにでかけましょう。
 さらにはベニヒワ、オオマシコも渡来しているようです。残りの冬はアトリ科に重点をおくのがおすすめです。

※六甲山地の標高が高いところは冬期、積雪や凍結の恐れがあります。ふもとでは雨でも山上では雪ということも珍しくありません。また、日当たりの悪いところでは何日も前に降った雪で凍結していることもあります。車で行く場合はスタッドレスタイヤの装着をおすすめします。十分に気を付けて運転してください。また、登山道も同様に積雪や凍結の恐れがあります。トレッキングシューズだけでなく、着脱の容易な軽アイゼン的なものを用意されておくことをお勧めします。

■春の兆し
 2月中頃を過ぎると留鳥たちの繁殖につながる動きが見え始めます。
 ・ヒバリやウグイス、カラ類のさえずり。
 ・カラス類やトビの巣材運び。
 ・エナガの2羽(ペア)での行動、巣材運び。
 ・フクロウは早々と抱卵にはいります。
 ・モズもペアで見かけることが多くなります。
 ・六甲山地の川ではカワガラスも繁殖にとりかかっています。
 皆さんも春の兆しを探してみてください。

■木の実はやっぱり注目ポイント
 ノイバラ、ソヨゴ、クロガネモチ、カナメモチ、ガマズミ、ピラカンサなどの赤い実が食べられるのはまだまだこれから。白い実が目立つのはナンキンハゼ。房のようにぶら下がるのはハゼの仲間やヌルデ。田園地域に多い金色のセンダン。実の目立つ木はすべて種子運搬を鳥たちが担っているといっても過言ではありません。

■ツグミの仲間
 ツグミ、シロハラは例年より少ない感じです。これからの時期は警戒心が薄れ、だんだんと観察しやすくなってきます。目の前で平気で餌をとるのに出会うことも珍しくありません。トラツグミの情報もちらほらと耳にしますので、山地の開けたところを探してみましょう。

■ヒタキの仲間
 冬のヒタキはジョウビタキとルリビタキ。ジョウビタキは開けたところから明るい林。街中の公園や庭にもよくやってきます。ルリビタキはそれよりもより森の中。今シーズン、ルリビタキは少ない感じがします。

■冬のワシタカ類やフクロウ類
 神戸周辺に越冬にやってくるタカの仲間が多くいます。常連さんのトビ以外に、里山周辺でノスリ、小鳥たちが多い場所には必ずといっていいほどハイタカが現れます。オオタカやツミの可能性もあるので頑張って識別しましょう。西区の田園では少数ですが、コチョウゲンボウ、チュウヒ、ハイイロチュウヒなどが見られることがあります。今シーズンは西区でコチョウゲンボウハイイロチュウヒトラフズクが記録され、私も観察することができました。
 チョウゲンボウやミサゴは個体数が増え、以前より数多く見られるようになりました。トビ、オオタカ、ミサゴなどは繁殖につながる行動がみられるようになります。

ハイイロチュウヒ♀ 2023/12/24 神戸市西区神出町

■カモにも注意
 カモたちはすっかり繁殖羽になり、きれいな姿を見せてくれます。小さい池にも入っていたり、短期で移動することもあるので、マイフィールドの池をこまめにチェックしましょう。

■コウノトリたくさん飛来
 今シーズンも多くのコウノトリが市内に姿を見せています(同時観察、最大8羽との報告も聞いています)。落ち着ける広い環境がないので長居してくれるかは難しいところですが、近場で見るチャンスです。

※田園地域を車でまわるときは、農作業をしている方や地元の方へ最大限の配慮をしていただけたらと思います。皆の道だといってしまうのは簡単ですが、トラブルにならないことがこれからも長く楽しむことにつながると思います。最近の野鳥観察者やカメラマンの増加、めずらしい鳥が出た場所への集まり方は強烈で、悪い評判が広まることを心配しています。

■クイナ類ならなぎさの池へ
 クイナ4種(バン、オオバン、クイナ、ヒクイナ)が高確率で見られるのが神戸市垂水区平磯のなぎさの池。特にクイナ、ヒクイナをまだ見られていない方は行ってみてください。

■森ではカラ類の混群がキーポイント
 山ではカラ類の混群に注目しましょう。キクイタダキやヒガラ、標高の高いところではコガラが混ざっていないか、注意。群れに直接加わらなくても周りにヒタキ類やウグイス、ミソサザイなど意外な鳥がいることも多くあります。

■レンジャクはやってくるか
 ヒレンジャク、キレンジャクは年によって渡来数に大きな差があります。全く姿を見ない年もあれば、各地で群れがみられる年もあります。冬残っている木の実に集まるので、ピラカンサ、トウネズミモチなどに注目しておきましょう。ある日、突然やってきているかも知れません。「ヒー」という細く伸ばす声が特徴的です。このあたりではヒレンジャクの方が多く見られます。
 今シーズン、西六甲でヒレンジャクを記録しましたが、大きな群れの情報はまだ聞こえてきません。これからに期待です。


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