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日本絵画(近世まで)

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記事一覧

令和6年 新指定 国宝・重要文化財:1 /東京国立博物館

 今年の3月15日、国宝6件・重要文化財36件の新指定が文科相へ答申された。じっさいの指定はも…

画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎:2 /静嘉堂文庫美術館

(承前)  古物のコレクターであった松浦武四郎。愛蔵品に囲まれて昼寝に耽るさまを、不遜に…

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テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本 /パナソニック汐留美術館

「テルマエ」とは、古代ローマの公共浴場。厳格な階級社会のガス抜き策として、市民に広く提…

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大名茶人 織田有楽斎 /サントリー美術館

 有楽斎こと織田長益(ながます)は、織田信長の13歳下の異母弟。  さしたる戦功はないもの…

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サムライ、浮世絵師になる! 鳥文斎栄之展 /千葉市美術館

 鳥文斎栄之(ちょうぶんさい・えいし)は、浮世絵の黄金期に美人画で活躍し、喜多川歌麿と鎬…

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大倉集古館の春 ~新春を寿ぎ、春を待つ~:2 /大倉集古館

(承前)  1階の展示は「新春を寿ぎ」に徹した内容となっており、2階の展示室で「春を待つ」…

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やまもとの至宝・飛鳥時代の大刀と馬具:1 /山元町歴史民俗資料館

 イチゴの名産地・宮城県の山元町(やまもとちょう)。南は福島との県境に接し、東は太平洋に面している。  2011年の東日本大震災では高さ10メートルの津波が押し寄せ、町域の37.2%が浸水。甚大な被害を受けた。町内唯一の鉄道路線・JR常磐線沿いも浸水域には含まれ、多くの町民が内陸部への集団移転を余儀なくされた。  復興住宅の造成という急を要する工事といえども、着工するには、考古学的な調査を経ることが必須となっている。  その過程で注目を浴びたのが、2014年8月から本格的

〈新春スペシャル〉2023年の鑑賞「落ち穂拾い」:4

(承前) ■鴎外の食 /文京区立森鴎外記念館(7月9日)  森鴎外は、なにを食べていたのか…

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激動の時代 幕末明治の絵師たち〈後期〉:3 /サントリー美術館

(承前)  この展示には、美術史の狭間に取り残された幕末・明治の魅力的な作家たちを掘り起…

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激動の時代 幕末明治の絵師たち〈後期〉:2 /サントリー美術館

(承前)  本展でとりわけ大きく扱われる作家・安田雷洲の《捕鯨図》(江戸時代・19世紀 歸…

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葛飾応為『吉原格子先之図』 ー肉筆画の魅力:1/太田記念美術館

 葛飾北斎の三女・お栄こと葛飾応為(おうい)。  杉浦日向子『百日紅』をはじめ、彼女にス…

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皇室のみやび 第1期・三の丸尚蔵館の国宝:2/皇居三の丸尚蔵館

(承前) ■伊藤若冲《動植綵絵》  江戸時代・18世紀 30幅のうち4幅  いわずと知れた、…

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皇室のみやび 第1期・三の丸尚蔵館の国宝:1/皇居三の丸尚蔵館

 昭和天皇の崩御後、皇室伝来の美術品が国庫に入り、その管理・公開をする「宮内庁三の丸尚蔵…

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臥遊―時空をかける禅のまなざし:3 /慶應義塾ミュージアム・コモンズ

(承前)  展覧会名の頭には「常盤山文庫×慶應義塾」とある。鎌倉山・常盤山文庫のコレクションの一部が慶應義塾に寄託中で、本展は文庫の創立80年を記念したものだ。  慶應側の出品作の多くは「センチュリー赤尾コレクション」。かつてセンチュリーミュージアムを運営していた財団からの寄贈品で、中世絵画も含んでいる。  全作品中で最もビッグネームといえる雪舟の《山水図》(2幅 室町時代・15世紀)も、そのひとつ。長辺が25.1センチという小品である。  最小限の筆づかいで、岩や木、