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緋色の研究 朝ドラ「スカーレット」:1

 柄にもなく、芸能界の話である。

 最新流行の音楽や芸能には、とことん疎い。
 それはたしかなのだが、NHKの朝ドラだけはかろうじて視聴をつづけており、出演者の顔と名前を一致させられる。もっとも、最初に出てくるのは役名のほうになるが。
 つい先日、林遣都と大島優子の結婚が発表され、わたしはたいへんうれしかった。なにせ、2019年度前期の朝ドラ「スカーレット」で、ヒロインの戸田恵梨香の幼なじみ〝3バカ〟を演じていたふたりだからだ。劇中で結ばれることはないが、重ための話が続くなかでときおり登場するふたりは一服の清涼剤のようであった。おめでとうございます。
 素直に祝福したいと思えるのも、この「スカーレット」が(隠れた)名作であったゆえ。数回に分けて、このあたりのことをざっくばらんに書いてみたい。


 「スカーレット」は、滋賀県内の窯業の一大産地・信楽を舞台に、信楽における女性陶芸家の草分け的存在とされる神山清子さんの半生をモチーフとしたドラマ。神山清子こと川原喜美子を演じたのは戸田恵梨香だった。
 軽くネットで検索してみると、「信楽における女性陶芸家の草分け」のところを早とちりし「信楽における」を略してしまっている例も散見される。それどころか、こともあろうに「日本における」とまで冠しているサイトも見受けられるのである。
 神山清子さんは現在もご存命であるが、恥を忍んで告白すると、ドラマの記者発表があった時点で、失礼ながらわたしは神山さんのことを存じ上げなかった。旦那さんの名を知るに及んで、そうか熊倉順吉の奥さんだった人なのか……という始末。
 それでは日本における女性陶芸家の草分けが誰なのかと問われると、陶工と陶芸家の違いから話を始めなければならずやっかいではある。ただ、「女性の陶芸家」として真っ先に浮かぶ辻輝子さん(こちらもご存命)は神山さんより16歳も年長。やはり、「信楽における」の部分を安易に略すのは危険のようである。(つづく



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