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やがて悲しき読書感想文

小学生が嫌う宿題トップ10というものがあったならおそらく上位にランキングするであろう読書感想文。私も毎年あらすじと感想を適当に織り交ぜながらのやっつけ仕事でなんとか乗り切っていた記憶がある。

ところがそんな適当やっつけ作文になぜか目をつけた先生がいた。これはその時の話だ。確か5年生の時だったと思う。担任から急に呼びとめられた。この担任(女性)元々は中学校の英語教師だったせいかやたらと厳しく、私はほぼ叱られた記憶しかない。おしゃべりで喧嘩っ早く忘れ物が多い問題児童だったから仕方ない面もあるけれど、みんなが図工の絵を描いている間お説教を食らったことも一度や二度ではないのだ。(ちっとも自慢にはならない💦)

その時も「ゲッ、何かやらかしたっけ」と焦ったがどうやら違うらしい。「あなたの読書感想文を○○に提出してみようと思うの。だから少し書き直して」みたいな話だった。何のコンテストかは恥ずかしながら全く覚えていない。

先生から赤ペンで添削された原稿用紙を渡され、その通りに書き直して提出した。「終わった、終わった」とホッとしたのも束の間、またもや添削された原稿用紙が戻ってきた。書き直して提出、またもや添削されて戻ってくる。気がついたら、私が最初に書いた文章は原形を留めずほぼ先生が考えた文章になっていた。これ私の感想文じゃないよと思ったが、流石に口に出すことはできず作文はそのまま提出された。

その後、例の読書感想文が賞をとった記憶はない。まるで大人が書いたような子供らしさがまるでない文章が審査員の目に留まるわけはないのだ。先生も何も言わなかった。もしかしたら熱くなりすぎたと反省していたのかもしれない。

卒業式の日先生から「あなたはもっと上を目指さないとダメよ」と言われた。当時の私は「これでも一生懸命なんだけどな」と思っただけでおそらく先生の言ったことを理解していなかった。今の私の姿を見たら「あなたやっぱり上を目指していないのね」って言われるかもしれないなと思った。



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