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緑ナスが食べたい!種から育てる固定種(自然栽培の記録vol.4)

 緑ナスを知ったのは実家から送られてきた野菜の中に入っていたのがきっかけでした。
「山形の直売所で見つけて、珍しいから送ったから~」
と母からの電話。荷物を開けてみると、薄みどりのゼブラ模様のナスが入っていました。煮るよりも油で焼いて食べるといいそうで、早速オリーブオイルで揚げ焼きに。一口食べて、「なんだろ、このとろける食感は!」と驚きました。皮が柔らかく、その中の実が口の中でとろけるのです。後で、いわゆる「とろナス」と言われる種類のナスだということを知りました。

 この食感がすっかり気に入ってしまった私は、これは来年畑で作りたいと種を購入。苗は近くのホームセンターでは売っておらず、種から育てる楽しさをトマト栽培で知ったので、ナスも種から、そして固定種の「緑ナス」を選んだのでした。自然栽培の実験をしたくて借りた区画で一年目に育てたナスは、市販の「千両二号」という品種で、苗を定植しました。トマト栽培と同じように、ナスも1年目は前に借りていた方の残肥があったのか、私が勤務している有機・無農薬の農園で育てた場合と比べて、根付くまで葉が黄色くなったり、成長が遅かったりしましたが、水やりしなくても順調に育ち、収穫も同じようにできました。


2020.5月植え付けてから葉が黄色くなった千両二号
2020. 6月 1年目に苗から育てたナス、千両二号

 そして、二年目でこの緑ナスの栽培に種から挑戦しました。トマトでは発芽が揃わずに苦労したのですが、緑ナスは発芽が揃って育苗も順調でした。

2021. 4月 種まきから一か月後の緑ナス


2021. 5月 種まきから二か月後の緑ナス

 5月上旬に定植してから、ゆっくりと育ち、収穫することができました。そう、成長がとても「ゆっくり」なのです。品種の違いはあれど、勤務している農園で、黒ビニールマルチと有機肥料を使って私が育てているナス(千両二号)が2,3個収穫が始まっている頃に、自然栽培の緑ナスはやっと一番花が咲く段階。同じように、黒マルチと有機肥料栽培のナスの収穫が一株から週に5,6本採れている時に、緑ナスは一株から3週間で1個のペースです。自然栽培を始めて2年目、前に借りていた方の残肥もなくなったのか、草を刈って敷いく土作りもまだ途中の段階なので、余計に成長が遅いのかもしれません。

2021.5.25 定植から3週間後


2021.6.21 定植から約一か月後、やっと一番花が咲きました


2021.7.12 やっと一番果、でも小さいうちに摘果します


2021.8.20 次の実ができ始めました


2021.9.22 収穫サイズに育ったもの


2021.9.28 同時に3つ実が付いた!

 2株だけの栽培ではナス一個の収穫で家族一食分には足りません。
「これ、自然栽培のナスだから」
と家族にアピールしつつ、一切れづつかみしめて食べることも(笑)
 このように他の栽培方法と比べやすい環境にいると、どうしても比べてしまいます。まずは自然栽培2年目で種から育てた固定種のナスを、無事収穫までたどり着けたことを喜ぶだけで十分だったのになと、今になって思います。

緑ナスとチキンのソテー。畑で採れたバジルのペーストとミニトマトも添えて

 その後の栽培ですが、参考にしている竹内孝功さんの本『1㎡からはじめる自然菜園』に紹介されている通り、ナスを収穫している夏の間に株元にハクサイの苗を植え付けておきました。緑ナスの収穫を秋までずいぶん粘りましたが、さすがに11月には枯れました。

2021.11.5  ついに枯れた緑ナス。株元はハクサイ

 次はたくさん緑ナスを食べるために株数を倍増するぞと、3年目はピーマンの栽培予定地をナスに変えて5株にしました。(写真:黄色いマル印が緑ナス、一株はイタリアンパセリの後ろ側に隠れています)種は、種取りをする前に収穫したものをすべて食べてしまったので(笑)、前年に購入したものの残りを使いました。

2022.5 3年目、種から育てた緑ナスを5株栽培


2022.8.22 もうすぐ収穫

 3年目はもっと「ゆっくり」育ち、5株栽培しても、1か月に2,3個の収穫で、家族一食分にするにはお味噌汁の具になることが多かったです。そしてやはり、一切れ一切れを大事に味わって食べたのでした。来年は10株育てて、もっといっぱい食べるぞと………。いやいや10㎡の限られた貸農園の区画、そんなにナスばかり育てるわけにはいきません。他にもたくさん育てたいものもあるのです。もし広い土地があってたくさん株を育てられたら、一度に家族一食分に足るだけの収穫はできたでしょう。
 狭い土地でも毎年同じ場所でナス科を育てられるような栽培方法が竹内孝功さんの本に書かれており実践してみましたが、連作3年目でうまく育たなかったトマトと違って、ナスの連作3年目は病気にもならずに育てることができました。

 最近、たまたまYouTubeで木村秋則さんのお話を耳にしました。その中で、自然農では植物は最初の3年間はゆっくり育つと話されていました。この話の内容が、まさに私がこの3年間で体験したことを端的に語っているようで、この「ゆっくり育つ」という言葉が実感として心に刺さってきました。ただ知っているのと体験してわかっているのでは、大きな違いがありますね。木村さんは誰もが3年目で無理だと思うけれど、4年、5年と続ければ土が変わっていくとも話されていました。お話の中にあったように私も3年目で心折れましたが、最初の3年間はこの「ゆっくり育つ」というのが、自分にとっては続ける原動力だったように思えます。やっと収穫できたものをじっくりかみしめて味わう、そしてその美味しさが忘れられず、また食べたいなぁ!もっと食べたられたらなぁ!という思いがまた作ってみよう!となる、そんなサイクルの中で気持ちが動いていました。

ただただ美味しいものが食べたい食いしん坊です。

自然栽培の記録シリーズはこちら↓
自然農との出会い(自然栽培の記録vol.1)
一年目の緑肥の失敗から学ぶ(自然栽培の記録vol.2)
トマト、「苗から育てる」から「種から育てたい」へ(自然栽培の記録vol.3)


 
  
 


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