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夏目漱石のボーイズラブ

友人と電話で話していて『BL系』の話になった。

バンドメンバーが『BL系漫画』を貸してくれて、その内容に「げげ!」と思っていたのだが友人によると『BL漫画』だけではなく『BL小説』もあるらしい。どんなモノなのか全く検討がつかない。

私がバンドメンバーから借りた『よしながふみ』の『1限めはやるきの民法』2冊と憶測だけでモノは試しに『BL系小説』を書いてみようと思う。
只、書くだけでは面白くないので『夏目漱石』風に書いてみよう。


吾輩はホモである。タチではまだ無い。
どこで目覚めたかとトンと検討がつかぬ。
何でも薄暗いジメジメした所で1人、『男色系雑誌』を眺めながらオナニーをしていた事はは記憶して居る。吾輩は此処で始めて『BL』といふものを見た。
然もあとで聞くとそれは『ガチホモ』といふ人間の中で一番獰猛な種族であつたそうだ。
此ガチホモと言うのは時々「やらないか・・・?」と我々を捕へてトイレでケツの穴を掘る捲くるという話である。

然し其の時は何と言う考えもなかつたから別段恐しいとも思はなかつた。只、彼の手に一物を掴まれてスーと擦られた時何だかフハフハした感じが有つた許りである。

其の後、苦学の末、上智大学神学の教授となったのだが実際に教授となってみると日々の生活はおろか仕事も忙し事この上ない。2丁目の輩のように過せないのが苦しい限りである。

さういう理由もあり我輩の相手は我家に居候する書生の小林秀雄君である。
年齢的にも私の方が上であるから日々の営みは私が小林君に挿入する側であったが、同じ身体構造でもあるにも拘らず毎回、同じ立場を取るのは帝国主義的である気もするので数日前からケツマンコの開発を行い私が「猫」である。

「なるほど。なるほど。之は之で愉快でも或る」

と思っている処で小林君が奇声を発した。

「ぬっふぅ!」

私の上で果てていた。

「先生、すみません・・・。今日は我慢がきかなくて・・・」

小林君は項垂れているが何分、初めてのタチでもあるから責める道理はないだろう。

「構わない。私も良い経験になった。其れよりも我輩のも咥えてもらおう。其れは全て口に含んでくれたまえ」
「は・・・はい」
「ん・・・!」

身体が一気に硬直し、其の後、力が抜ける。
数日前から雨続きで蒸し暑くて仕方がない。

ベランダに植えている花壇が目に映った。薔薇が雨に打たれ萎れていた。

夏も盛りとなり愚妻は郷里の青森へと一旦、帰郷した。私は学会に提出する論文の手直しが大幅に遅れていた為、今年は同伴できない事を告げ書斎に篭った。

一頻、論文を書き終え床に就く。

襖があき小林君が尋ねてくる。

「先生、眠っていないのでしょう。中に入れて貰えますでしょうか・・・」
「うむ」

何時もの事であるが行為が始る。

「先生、好きです」
「うむ」
「先生、好きなんです」
「うむ」
「先生、聞いていますか?」

小林君は神学部でテンプル騎士団についての推敲や歴史については私も一目を置く学生ではあるが些かシツコイ処があり、私も辟易する事も或る。

「君、少し黙りたまえ。学生の身分で分を弁えたまえ!穴は広がっているのだから直ぐさま挿入したまえ!」

行為が終わった後、小林君は少し落ち込んでいた。だが教育者としての立場上、弟子に厳しい事を言わざるを得ない事も或る。教師と言うモノは詰まらん職業だ。

外で子供の声が聞こえる。玄関に立って見ると近所の子供が線香花火をやっている最中だった。

夏の盛りも過ぎ、仕事も落ち着き始めた。愚妻が婦人会にて旅行に行っているので食事は外食し蕎麦を食す。
夜になり小林君が尋ねてきた。

「あっ・・・」
「好きです。先生」
「んっ・・・」
「っはぁ・・・」
「先生・・・」
「あ・・あっ」
「回答は求めません。しかし言わせて下さい」
「何をだね?」
「愛しているよ。漱石」

普段、教授職であり寧ろ『堅物』の異名をとる私ではあるが、之には参った。些か恥じらいを感じる。

「先生、勃っております」
「はぁ・・・っ!」
「とても勃っています」
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
「先っぽも濡れているのでしょうか?」
「私にも羞恥心と言うものがるのが判らないかね!」
「愛らしいです。私よりも先生の方が乙女ではありませぬか」
「君の発言を許可した覚えは無い!此の世の何処に勃起し、尿道球腺液を出す乙女がいると言うのだね?」

疲労した身体を横にし小林君に伝える事がある事を思い出した。

「どうして私が嫌悪する人物の肉棒を陰毛が歯に挟まる程、口に含んだり、あまつさえ精液を飲んでやらなくてはならないのかね。他の人達がどうだかは統計をとっていないので私は知らないが、之でも私はカトリック信者だ。出来る事ではない」

「先生!・・・それって・・・」

「判ったであろう。学は成り難し。二度教える事ではない」

小林君が部屋から出て行き床につく頃。

1人、庭にて三日月を眺めていた。向日葵は萎れていたが様子を見ると鳥が種を啄ばんでいるらしい。

月が雲に隠れる頃。
私はアヌスに『ボラギノール』を塗り床についた。部屋の改築の際に『ウォッシュレット』にしておいて良かった、と悦に浸るのであった。

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