ダンジョンバァバ:第5話(後編)
【目次】
【前編】
「中に入るのは初めてだぜ」
「ワシもだ」
”壁” に好奇の目を向けながらセラドが言うと、バグランも豊かな顎髭を撫でて頷いた。
正午間近のドゥナイ・デン北東区画。人間の背丈の倍ほどもある丸太がズラリと地面に打ち込まれ、強固な木壁を作り出している。左右に延びる壁は途中でカーブを描いて視界から消え、”内側の施設” をグルリと囲んでいるのだ。知らぬ者が見れば、外部からの侵入者を拒むためのものだと思うだろう。だが、この壁の存在理由は違った。”内側” で行われる行為