ジョン久作

魔都東京でソコソコ仕事する男。 たまに雑記で発散しつつ、ババア・パルプ小説を連載中。『ジュディ婆さんの事件簿』は完結。現在は『ダンジョンバァバ』連載中。

ダンジョンバァバ:第6話(前編)

”広場で毎朝100回” と決めていたジャンの素振りは、49回目の途中で終わった。木刀を振りかぶったまま、集落の外へと顔を向ける。丘陵へと続く街道は無人。街道から外れた方角から何かの音。そして土煙――
「よーんじゅきゅ…… どうしたの?」
傍で見物していた三姉妹が、揃って怪訝な顔をする。ジャンは慌てて彼女たちに向き直り、(宿屋へ戻って)と合図した。
「あっち行け? なんでー?」「ねー、誰か来るよー」

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ワシはなぜババア小説を書くのか

(なんでじゃろ)

ワシはふと考えた。
自分自身が考え、消化すれば良いだけの話だもんで、こうして書くのもどうかと思う。だが書いてみる。

初作『ジュディ婆さんの事件簿』を書き終え、鼻息も荒く『ニンジャスレイヤー』第3部を買い込んだのに、いつの間にか2作目『ダンジョンバァバ』を書き始めていた。またババアだ。なぜまたババアなのか。我ながら真剣に考えたことがなかった。「これならどうだ」と頭に浮かんできた

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ダンジョンバァバ:第5話(後編)

【前編はこちら】

「中に入るのは初めてだぜ」
「ワシもだ」
”壁” に好奇の目を向けながらセラドが言うと、バグランも豊かな顎髭を撫でて頷いた。
正午間近のドゥナイ・デン北東区画。人間の背丈の倍ほどもある丸太がズラリと地面に打ち込まれ、強固な木壁を作り出している。左右に延びる壁は途中でカーブを描いて視界から消え、”内側の施設” をグルリと囲んでいるのだ。知らぬ者が見れば、外部からの侵入者を拒むため

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ダンジョンバァバ:第5話(前編)

「ヤァヤ! セラドさんいらっしゃいませ」「ヨォヨ! セラドさんいらっしゃいませ」
店の奥で盤上ゲームに興じていたハーフエルフの双子が顔を上げ、爽やかな笑顔で客を迎え入れた。短いながらも動きのある栗色の髪の上に、それぞれ骨董品の王冠を載せている。エルフ族の長身、白い肌、尖った耳、美形といった外見的特徴は人間の血の影響で ”半エルフ化” しているものの、瓜二つの顔をした雑貨屋の兄弟が美青年かつ好青年で

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ダンジョンバァバ:第4話(後編)

【前編はこちら】

カチリ、と小さな音。何かを踏んだ感触。ウォリアーは蒼ざめた顔で振り返り、テンガチを見た。
「そのまま! ……足はそのまま」
短く指示したテンガチが、先頭のウォリアーにゆっくりと近づく。後ろの3人は慎重に5歩ほど後退する。
「いいか、動くなよ……」
重ねて言われたウォリアーは、生唾を飲んで静かに頷く。トラップは過去の探検で経験している。そのピンチを救ったのもやはりテンガチだった。

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