WADAさん、ぼうごなつこさん、ハーバービジネスオンラインが徹底的にダメな件

「開示請求の鬼」なる人物

 ハーバービジネスオンラインは、菅野完さんの「草の根保守の蠢動」の連載などが著名なウェブニュースサイトですが、過去にはハーバービジネスオンラインのツイッターアカウントが規約違反でロックされるなどかなりアレなメディアでもあります。
 そのハーバービジネスオンラインが「開示請求の鬼」ことWADAという人物の記事を掲載しています。この記事はWADAさんが自ら執筆したのではなく、漫画家でもあるぼうごなつこさんというライターがウェブサイトの審査を通過してアップされた記事であることがポイントです。

当たり前の対応に大騒ぎするハーバービジネスオンライン

 それでは記事をご覧ください。

 WADAさんは次のような開示請求を行ったそうです。

「Twitterにおける『Dappi』なるアカウントについて内閣府が有する一切の文書」

この開示請求については、「内閣官房」「内閣情報調査室」というバージョンがあるそうですが、内閣情報調査調査室は内閣官房の部署ですし、なぜ一本にまとめて「国が保有する一切の文書」と記載しなかったのかは疑問です。
 その回答が「文書の存否も含めて答えられない」というもので、それに対してぼうごなつこさんは「あると認めたも同然」という不思議な解釈をなさっています。私はこの当たり前の回答を「驚愕の回答」と大騒ぎするぼうごなつこさんと、審査を経てその記事を公開したハーバービジネスオンラインがよくわかりません。

官公署の情報公開の原則とその穴

 国や地方公共団体を含めた官公署は、情報公開において嘘をつくことができません。ある文書がないということもできませんし、ない文書をあるということもできません。仮にあるツイッターアカウントに関する文書の開示請求について内閣府が「存否も含めて答えられない」と回答し、別のツイッターアカウントに関する文書の開示請求で「不存在」と回答したならば、内閣府が前者の情報を保有していると大騒ぎすればいいだけの話だと思います。つまり、ある日にツイッターアカウントを作成し、作成日以前の日付を指定して

「Twitterにおける『何々』なるアカウントについて〇月〇日までに国が有する一切の文書」

という開示請求を併せてなし、「不存在」という回答を得ることによってはじめて「あると認めたも同然」という結論が導き出せるわけです。はたしてWADAさんはここまで念入りに開示請求しているのでしょうか。そうでなければ「開示請求の鬼」なる評価は看板に偽りありというほかありません。
 なお、官公署での中で文書の存在を「不存在」、ある文書の存在を「存否も含めて答えられない」と回答する部署は存在します。私も官公署部署の文書の存否について確認することがありますが、その部署の「存否も含めて答えられない」という回答については「あると認めたも同然」ではなく、「ある」という回答を得たものと認識して動いています。
 官公署の開示請求に対する対応方法の違いをまったく認識せずに通り一遍の回答を「驚愕の回答」と大喜びするWADAさん、それを何の疑問も抱かずに記事にするぼうごなつこさん、審査の結果それを記事にするハーバービジネスオンラインのすべてがプロらしい仕事をしているとはいえないことに眩暈がしています。