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皇統の危機に無知で無策な岸田文雄総理大臣 1 〜皇位継承において揺るがせにしてはならないものとは〜

特例法の附帯決議の意味がわかっていない有識者会議と岸田文雄総理大臣

 皇室問題を担当する内閣官房参与が退任しました。皇室問題に関する組織がどのようになるのかを把握していませんので、人事に関する評価は差し控えますが、皇位継承問題に関しては、安倍晋三内閣ではそれなりに動きが見えたものの、菅義偉内閣、岸田文雄内閣では評価すべき点が全くありません。

 岸田政権下で皇位継承の議論がたなざらしになっている。今後も皇族数の減少が見込まれるなど喫緊の課題と位置付けられるが、自民党では保守派が女性・女系天皇の容認につながることを警戒。今月13日には、皇室制度を担当する山崎重孝内閣官房参与が退任し、ますます進捗(しんちょく)が見通せない状況となった。
 「衆参両院議長の下で検討が行われている。国会の議論にコメントする立場にない」。松野博一官房長官は15日の記者会見で、政府として議論を促さない考えを改めて示した。
 皇室典範は、父方が天皇の血筋を引く「男系男子」が皇位を継承すると規定。現在、皇位継承資格を有するのは、(1)秋篠宮さま(2)秋篠宮さまの長男の悠仁さま(3)上皇さまの弟の常陸宮さま―の3人のみで、安定的な継承には不安が残る。
 皇室の構成も平成以降最少の17人にとどまり、悠仁さま以外の未婚の皇族はいずれも女性。婚姻などで皇族数がさらに減少すると、天皇が行う国事行為の臨時代行や、各種行事への臨席、被災地への慰問といった皇族の役割が果たせなくなる恐れもある。
 上皇さまの天皇退位を受け設置された政府の有識者会議は2021年12月にまとめた最終報告書で、悠仁さまが皇位を継承する流れを揺るがせにしてはならないとし、その次代の議論は「機が熟していない」と明記。その上で、皇族数の確保策として、(1)女性皇族が結婚後も皇室に残る(2)旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰する―の2案を提示した。
 岸田文雄首相は今年2月の自民党大会で「安定的な皇位継承を確保するための対応は先送りできない課題だ」と述べたが、具体的な動きにはつながっていない。有識者会議の報告を受け設置された自民党の「皇室問題等についての懇談会」(座長・麻生太郎副総裁)も22年1月の初会合以降、音沙汰なしだ。
 この問題に関わってきた政府関係者からは「首相は表で言うだけで、やる気がない」との不満が漏れる。ある閣僚経験者も「議論の機運が全く盛り上がっていない」と認める。
 自民党内には保守派を中心に「女系天皇容認につながるのではないか」(安倍派幹部)との意見が根強い。一方で、21年の総裁選で野田聖子元少子化担当相が「女系天皇も選択肢の一つだ」と訴えるなど容認派も一定数いる。首相としては、党内が二分し政権基盤が揺らぐのを避ける思惑もありそうだ。

時事通信「岸田政権、皇位継承たなざらし 担当内閣参与が退任」

 記事の中で有識者会議の内容を前提としていますが、そもそも有識者会議自身が退位に関する特例法の附帯決議である安定的な皇位継承を全く議論せずに皇族数の減少を議論するという噴飯物の進行を進め、悠仁親王殿下への皇位継承という流れを揺るがせにしてはならないなどという皇室典範の理解すら怪しい結論になっていますから、有識者会議の結論は検討するに値しません。

皇太弟を想定していない皇室典範

 皇室典範第8条に「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。」と規定されています。天智天皇から天武天皇への継承(弘文天皇については、即位そのものが疑われているので考慮しません。)など、歴史上は天皇である兄から弟への継承例は数多くあります。そして、皇室典範制定以前には皇太弟も存在しました。しかし、皇室典範では、皇太子、皇太孫の規定はあるものの、皇太弟については規定がありません。したがって、秋篠宮殿下は皇嗣であるものの、皇太弟ではありません。
 この皇太子や皇太孫はもう一つの意味を持ちます。それは、「次に天皇になられる方」という意味です。皇嗣はその時点で皇位継承順位が1位の方ですが、その後皇位継承順位が変わる可能性のある方です。皇嗣である天皇の弟は、天皇に皇子が誕生することにより皇位継承順位が下がって皇嗣ではなくなります。皇太弟という規定が存在しないことから考えても、皇室典範は皇統に属する男子による皇位継承ととともに直系で皇位が継承されることを重視していることがわかります。したがって、天皇陛下から秋篠宮殿下、悠仁親王殿下へ皇位が継承されるという現在の皇位継承順位に沿った流れは揺るがせにしてはならないというものではないことがわかります。