終末

 「はい、これ。」

 渡されたものは、スターバックスのホットドリンク。飲み物を買ってくる割には遅いと思っていたら、まさかそんなところまで足を運んでいたとは。

 「ありがと、これ、高かったでしょ。」

 「まあそれなりに。」

 「いくら?払うよ。」

 「いいよ、奢る。」

 君は私の横に腰掛けて、さも当たり前のようにそう呟いた。

 「...ありがと。」

 吐く息が白い。二人分の息が風に乗って空中で混ざり合う。どうにも気味が悪い例えだが、これ以外に表現のしようが無い。
 そんな、吐く息だなんて、こんなにまじまじと見た事がなかった。無意識の行為をわざと意識して見てみると、それは案外面白かったりする。

 「相変わらず寒いなぁ。」

 「うん。」

 「でもこんな寒い日も、別に良いんじゃないかって、今なら思えるよ。」

 「...うん。」

 ふと横を見ると、君の身体が微かに震えている。それは寒さだけのせいじゃないことを、私は知っている。けれどそんな震えなどどうでも良いと言いたげに、薄く笑う。つられて私も笑う。震えながら、笑う。

 そうやって君は、心中の動揺を隠すように、白々しく、こう言ってのけるんだろう。

 「そういや、明日世界が終わるってよ。」

end

 

 

 世界が終わるらしいので、拙いながらSS小説を書かせて頂きました。この投稿が最後になるのだなぁと悲しくなりますが、今さら嘆いた所で仕方がない。

 それでは皆さん、また会う日まで。

 

たいと