見出し画像

法制審議会家族法制部会第32回会議議事録読む4~石綿幹事・窪田委員・水野委員・武田委員・北村幹事

通常国会民法改正

 共同親権

さて議事録読もう

○大村部会長 ありがとうございます。では、先に進みたいと思います。石綿幹事、どうぞ。

はい、先いこうー

○石綿幹事

 幹事の石綿です。基本的に、第2についてゴシックの記載については賛成という上で、補足説明について、あるいは強く賛成の意を表したい点について、細かいですが、5点指摘させていただければと思います。
 まず、第2の1(1)の父母が双方親権者となるとき、共同して行わなくていいことということで、まずイの急迫について、こどもの居所をめぐる点で議論がされていたかと思いますが、この規定は本来、親権行使全てに関わる規定なのではないかと理解をしております。特に問題になる可能性が高い医療行為などについては、緊急の場合に単独で行使ができるといった実務上、学説上、ある程度確立した判断があるかと思いますので、仮にここのイの部分を今日多くの指摘があったようなものに変えた場合、その医療行為や既に確立している部分にどのような影響を与えるのかという点は整理をしていただいた方がよいかと思いますし、改めて居所の話だけでなく全ての親権行使について必要でよいのかということは御検討いただきたいと思います。
 それから、少し戻ってアに関連してです。先ほど赤石委員から無関心ケースをどうするのかということの御指摘があったかと思いますが、私はこの点についてアが機能していくのではないかと理解をしております。現行法でも事実上、親権が共同行使できない場合として、行方不明といったようなことが挙げられていますが、連絡が取れないような場合、あるいは多分ありそうなのが、連絡をしたけれども反応がない、LINEが既読無視になるといったようなことがどのような扱いになるのか、親権が行使できない場合に当たるのか、黙示の合意に当たるのかといった辺り、補足説明で構わないので、整理をしていただけるとよいのではないかと思っております。
 この点に関して、先ほど、ウで赤石委員が御提案のあった、合意がないときはここに当たるというのは、それはあり得ないのではないかと私個人は思っております。共同で決めなければいけないことが共同で決められなかったら単独で行使できますというと、そもそも親権の共同行使にしなくていいのではないか、婚姻中の共同親権も含めて見直しましょうという話に通じる議論かと思います。そこは維持しましょうという前提で、この部会では議論していると思いますので、赤石委員の御提案のあったウという文言には反対いたしますということになります。
 それから、1に関連して(注2)のところで、共同ですべきことを単独でしてしまった場合、前回に重ねての指摘で申し訳ございませんが、民法825条である程度カバーできるのではないかということで、それはそうだと思うのですが、825条は共同ですべきことを共同名義でした場合に適用されるのだと思います。共同ですべきことを、例えば母の単独名義でした場合どうなるのか、それから、これも重ねてですが、825条はこどもの行為について代理した場合ですから、進学に関すること、医療に関することを親が医療者と直接、当事者として合意した場合どうなるかということを、補足説明で構わないので、もう少し丁寧に触れていただけるとよいと思いました。
 次に、2(6)は小粥委員と同じで、(注2)の部分を可能であれば本文に上げていただきたいと思います。もう理由は小粥委員が丁寧に御説明なさっていただいたので、割愛します。
 それから、3(1)に関連して、監護者指定を必須とするかということですが、この点は御提案のとおり、選択できるという制度の方がよいのかなと思います。ただ、これも様々御発言がある背景には、監護者指定を必須とすべきような事情もあるような事案でも、裁判所がどう判断してくれるか分からないというところがあるのかと思いますので、これはもし可能であればということですが、どういう場合が監護者指定をする場合で、どういう場合に監護の分掌になるのかといったような点について、基準が無理でも、ある程度の具体例のようなものが補足説明にあると、今後の運用の参考になるのかと思います。
 最後、3(4)ですが、戒能委員が反対を示された、親権を有するけれども監護者ではない者に一定の行為を認めてよいのかということですが、私は御提案のとおりでよいのではないかと思います。親権者であるのに監護者でないという理由で財産管理しかできないというようなことは必ずしも望ましくないと思いますので、親権者にも一定の制約の下ではあるが権限があるというたたき台の内容で御対応いただくのでよいかと思います。戒能委員の御指摘があった、同居してその身の回りの世話をするのみという表現は、これは多分法的には身の回りの世話をしているということをどう構成するかというのが現行法上用意されていないから、このようなことになっているわけで、決してケアを軽視しているということではないと私自身は理解をしております。
 長くなりましたが、以上です。
○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からは、全体について賛成であるという御意見の後に、5点とおっしゃいました。1(1)を分けると、もっと多くなるのかもしれませんが、具体的な個別の問題についての一歩立ち入った御意見と、それから、補足説明等で対応すべき問題について御指摘を頂いたと理解を致しました。
 次は窪田委員なのですけれども、オンラインで菅原委員と青竹幹事が手を挙げておられて、今、最高裁からも手が挙がりましたが、それは私の方で認識しておりますので、後で御発言を頂こうと思います。

ありえないって一蹴されるハイライト

○窪田委員

 窪田でございます。私の方はごく簡単に、非合意型の共同親権の定めについてのみ発言させていただければと思います。赤石委員から御指摘があった形で、特に一方が無関心型の場合に、言わばそういった場面でも共同親権という形のものを合意がないにもかかわらず定めるということになったら、それはそれで実質的にも適当ではないのではないかという形での問題提起がありました。そのケースに限って言うと、私もそうなのかなという感じもいたします。
 ただ、第2の2(2)、裁判上の離婚の場合には裁判所は父母の双方又は一方を親権者と定めるというのは、これは当事者の意思とか意欲と全く無関係に、裁判所が一方的に決めるというイメージではないのではないかと思います。(1)の方では、協議離婚の際の場合の合意ということになっていますけれども、裁判離婚の場合であったとしても、基本的に自分が離婚後の子にどのように関わっていくのかというふうな意向といったものは当然踏まえて判断されると思います。それを踏まえると、例えば、離婚後のこどもとの関わりに関して言うと、1番目として、いや、もう親権は持たなくていい、全く関わりたくないというものが、あるいは2番目として、単独親権を持って関わりたい、そして3番目として、共同親権という形で関わりたい、3パターンあり得るのだろうと思います。3掛ける3で9ということになるのかもしれませんが、そのうちの共同親権として関わりたいというのが二人ともであれば、これは合意があるということの合意型ということで説明できると思います。一方で、片一方は共同親権を望むけれども、片一方は単独親権といったようなもの、あるいは両方ともがそれぞれ自己を親権者とする単独親権という場合には、少なくともこどもの養育に責任を持って関わっていくという態度は示されているので、しかし合意が得られないというパターンについて、恐らく主として問題となる領域はそちらではないのかという感じがいたします。その意味では、全く無関心なケースについて、こんなのは困るよねという例を前提として、非合意型の共同親権とはこういうものなのだ、随分問題があるぞという議論の仕方は、やはり避けた方がいいのではないかという気はいたします。
 ただ、今のような点は補足説明の方を踏まえても必ずしも明確には出ていないと思いますので、どちらかといえば(6)部分で、(注2)の話がありましたけれども、その大前提として、裁判上の離婚の場合とかでも、やはり当事者の意思を全く無視して裁判所が決めるわけではないだろうと思いますし、現在でもそうなのだろうと思いますけれども、そういった点についてもう少し補足説明で書いていただくと理解がしやすいのかなと思って伺っておりました。
○大村部会長 ありがとうございます。先ほど棚村委員もそういうことを御指摘になったのではないかと思いますが、今、非合意型とおっしゃったわけなのですけれども、それについて、合意型か非合意型かといった二項対立でない形で場合を分けて考えていく必要があるのではないか、それから、御懸念を示されている方の御懸念に対応するようなことをもし本文に書き込めないのであれば、それはきちんと説明をしておくということが必要なのではないか、こういう御意見を頂いたと理解を致しました。

全方位からぶったたく

○水野委員

 水野でございます。まず、第2の1の(1)と(2)の部分につきまして、原田委員、戒能委員などからDVケースにおける弊害を危惧する御意見がありました。私も、DV対応が制度化されている欧米諸外国と違って、DV被害者が逃げる自由しかないという日本の状況を深刻に考えるべきだと思います。ハーグ条約の問題などもその前提が違いますので、なかなか並列的には考えられません。このような状況を改善すべきであるという点では私も共通認識を持っているのですが、ただ、ここはその問題とは違う場面だろうと認識しております。
 つまり、急迫の事情があるときという表現が問題になりましたけれども、これは刑事罰ないし行政介入の要件になっている表現ではないと思います。そういう介入の必要性なく、普通に生活できているという前提での親権行使ですから、日常の行為は単独で行えて、かつ急迫の事情があるときにはこどもの利益のために行えるということで、恐らく問題なく運用できるだろうと思います。加害行為をする親が出てくるという場合には、そもそも一発アウトで公的介入が必要になり、親権そのものの停止ないし喪失の問題になるはずです。そういう状況ではない条件下で、普通に生活できるときの親権行使についての表現であると理解すれば、おそらくこれでいいのではないでしょうか。
 それから、その次は2の父母の離婚後等の親権者の定めの(6)の表現ですが、この表現も、私は大枠はこれでよいように思います。先ほど小粥委員が言われましたように、親権という重要な権利義務から勝手に抜けられるような制度設計はおかしいと思います。また、赤石委員が、平穏にコミュニケーションがとれる親で、かつ合意できたときに限るべきだと言われたのですけれども、そういう制度設計にしてしまいますと、これはこどもを現に手にしている方が言わば拒否権を持つことになりますので、事実上の奪い合いが非常に熾烈になるでしょう。力による現状決定が行われてしまい、父親が強奪してくることもあるはずで、そういう副作用もあるだろうと思います。
 また、原田委員がこどもの意見を入れるべきだとおっしゃったのですけれども、これも何回も繰り返していることで申し訳ないのですけれども、これを入れてしまいますと、忙しい裁判所がこの文言を盾に省力化してしまうのではないかと危惧いたします。実際にはこどもの様子や意向をしっかり調査しなくてはならないことについて、どなたも異論はないと思います。しかし、こどもの意見という表現を入れてしまいますと、結局こどもの意見を、「君はどうしたいの?」と聞くことになり、こどもがそう言ったからという裁判の結論になるわけですが、その後、こどもが、非親権者になった親の悲嘆が全て自分のせいであるという思いを抱えてずっと生きることになってしまいかねません。こどもの意見というのは、やはり文言としては入れるべきではないように思います。
 それから、これまでの議論にもありましたように、(注2)の内容こそが非常に重要な内容だと思います。ここを詳しくはっきりと確保すること、危ない、これではいけないというような場合をきちんと書き込んでおくことが重要で、また小粥委員などが提案されたように、本文に上げることも十分考えられるかと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございます。水野委員からは、今まで議論になっている論点のうち二つの点、一つは急迫の事情という点について、これは民法上の問題として、これで運用ができるのではないかという御意見と、それから2(6)について子の意思というのを書き込むことについての御懸念、そして(注2)の扱い、これは小粥委員は本文にということをおっしゃったのですけれども、ここをきちんと議論し、場合によって本文にという御意見を頂戴いたしました。
 それで、原田委員が手を挙げておられて、ほかに武田委員以下、6人の方がいらっしゃいます。原田委員からは先ほど最後でいいとおっしゃっていただきましたが、それでよろしいですか。では、すみません、一巡目の人を先にさせていただきます。武田委員、お願いいたします。

なんとも頼もしい!

○武田委員 

 親子ネット、武田でございます。第2の1、2、3、それぞれに関して意見を述べさせていただければと思います。
 まず、第2の1に関して、ゴシックに関しましては、基本的には現時点の表現で進めていいのではないかという意見です。本日他の委員、幹事の先生方からの必要性、相当性にすべきという意見も含めて、一通り聞かせていただきましたが、棚村先生、石綿先生がおっしゃったように、この急迫の事情という中身は一体何なのだというところを明確にしていく、このような議論の進め方が一番きれいなのではないかと思いました。必要性、相当性に関してですが、こういった主張をする一方親は必要性、必要なのだということ、これは何とでも主張できるといいますか、いわゆる判断根拠をどうとるのだという話になり得るかなと私は感じています。
 1月にお越しいただいたDV被害者で、別居親のK.M.さんの事案を出させていただきますけれども、彼女の相手方も自らの連れ去りに関しては合理性がある、必要性があると主張していました。彼女のケースは、実態として必要性があるとする相手方の不法な連れ去りにより結果として現状への復帰がかなわない、事実上認容されるということになっていると思います。その後、彼女は是正されるべき判断が裁判所から公式に出ましたけれども、それまでに一定の期間、1年以上の期間が掛かり、結果、引渡しもかなわないという事態に至っています。彼女の場合はまだ、裁判所の判断は出ましたけれども、我々が批判の対象にしている不法な連れ去り後の子の監護の継続性によって親権、監護権を失って、お子さんから一方親を取り上げる事案、多く発生しています。このような必要性、相当性という規定を置くと、父母間の本来は生じさせなくてもよい葛藤、これをあえて裁判所で高めるという逆の効果を懸念します。
 今年の9月に、委員の先生方、幹事の先生方は御存じか分かりませんけれども、世田谷区が主催する離婚を考えている、女性限定です、女性向けに法的なアドバイスをする講座がございました。講師の弁護士が参加者に対して、別居に備えての財産隠し、親権を獲得するために別居時に無断でこどもを連れて出るように指南する、この講座の音声がネット上に流出いたしまして、10月初旬の世田谷区議会で問題として取り上げられ、区としては不用意だった、適切に対応すると、こんな答弁もございました。
 これは個人的な話になりますが、同様に世田谷区の法律相談における私の個人的な経験です。私は世田谷区在住でございます。区が主催している離婚相談で、私と一回も会ったこともない相談員が私を指して、私のことを暴力夫と決めつけました。さらに、妻に対して、こどもを連れて出て行きなさいと、連れ去りを幇助していたことが判明しました。その際の家庭相談記録表があり、この相談記録をこの部会に先立つ家族法研究会で提出させていただきました。その後、私は個人的には裁判所の手続の中で、私が暴力の加害者でないことは明らかにされました。つまり、このような必要性、相当性を要件に入れていった場合、このような一方的な主張に根拠を与えることになる、これが果たして子の利益に資することになるのか、こういうことから賛同ができないというのが私の意見でございます。
 1に関して最後に、この部会を始めた当初に前の明石市長の泉房穂さんがお越しになりましたが、泉さんの発言を紹介します。これは私は昔、話を聞いて非常に共感したのですけれども、今の家裁運用は、本来は戦わなくともよい両親をとことん戦わせる運用となっている、ということでした。正におっしゃるとおりで、1に関しまして必要性など、このような効果を誘発する規定は置くべきでないということを繰り返し述べさせていただければと思います。ここまで第1でございます。
 次に、第2に関して発言をさせていただきます。ゴシックに関して本日、特に関心ある論点は裁判所の判断枠組み、(6)及び(7)、(注2)かなと思っています。詳細の書きぶりに関しては、基本的にはよいと思っておりますが、本日時点では留保をさせていただこうと思います。今日の議論をベースに、単独親権を命じる場合の要件、ここの書きぶりを検討いただいて、そのほかの記載に関しても詳細を詰めていくという方向がよいのではないかと、このように考えております。
 具体的に、この裁判所の判断枠組みでございますが、部会資料32の記載のとおり、前回部会でも述べたとおり、今回マイナスの要素という表現で明示されましたけれども、この方向で進めていただければと思います。特に、重要なマイナス要素を例示列挙という表現も資料の中にありましたが、ノックアウトファクターですよね、これがあるともう駄目というものを重要なマイナス要素として例示列挙いただくのがよいかと思います。
 恐らくこの先、このような議論になってくると思いますが、先に意見を申し上げたいと思います。この先の議論の中で、高葛藤のみをもって共同親権にしてはいけないのだとかそういう議論が恐らく出てくるかと思っています。私は高葛藤のみをもって共同親権を認めないという考え方には反対の立場でございます。離婚に直面した父母は一時点に限れば、特に直後はそうだと思うのですけれども、高葛藤であることが多い、これは事実かと思います。これは、例えば不法な連れ去りや離婚に同意するまでこどもと会わせない、こういった人質交渉、こういった行為が抑止されないために生じている高葛藤なのではないかと、このように思っています。このような事案の葛藤どう低下させていくかと、一定の時間が必要だと思いますし、正にここに家庭裁判所の調停制度の存在意義があるのではないかと思います。共同親権を認めるか否かについても、恐らく父母の協議が調わない場合、一方が家庭裁判所に調停の申立てをし、恐らく調停を申立てして、双方の話を聴きつつ、いきなり双方の言い分だけを聴いて審判なんていう進め方には恐らくならないと思います。この辺りに関しても、裁判所に上がったらどういう審理の進め方になるのか、可能な範囲で補足説明に書いていった方がより理解が深まるのではないかと思います。
 私も数えましたら、親子ネットの運営に携わって、もう10年でございました。個別にいろいろな当事者のお話を累計で、恐らく1,000件以上聞いております。やはり、この部会が始まった当初、りむすびからしばはしさんに来ていただきましたけれども、どうやって葛藤を下げていくのか、葛藤を乗り越えて話し合えるようになるのか、一定の手法があると思います。こういった話合いができる父母も当然、一定数存在すると思っております。こどもから一方親の関与を失わせること、これにはやはり極めて慎重でなければいけないと思います。離婚は飽くまで父母の関係の終了にすぎないと思います。
 2に関して、事務当局に確認を1点させていただければと思います。長くなるので、簡潔に申し上げます。部会資料32-1、第2の2の(注2)、これは部会資料30-1の(注1)に相当する部分と理解をしています。従前の資料では、心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無及び程度となっていたものが、今回の資料ではおそれの有無と変わっていて、程度というものが削除されております。このような修正というのは、内閣法制局なのですかね、今後の条文化を意識した書きぶり、表現ぶりの修正であって、この程度という文言が削除されたことによって部会資料30-1で提示されていた規律の実質的な内容が変わったわけではないと、このように理解してよいか確認をさせていただきたいというのが事務当局にお伺いしたいと思います。
 長くなりまして恐縮なのですが、最後、3に関して発言させていただきます。監護者指定を必須とすべき、監護者指定がない状態で同居親に一定の優先的な地位を付与すべきであるという意見には反対の立場であることを、まずは明確にさせていただきます。基本的に考え方といたしましては、部会資料32-2の9ページ補足説明(注1)記載の内容、これに賛同するものでありまして、監護者としての権利義務については父母の協議で定め、協議が調わない場合は裁判所が定めるべきということがここまでの議論の積み重ねであったと理解をしております。
 具体的に、(注1)に記載がありますが、父母の一方が子と共に別居を開始したという事実行為のみによって父母の権利義務に変動を生じさせる理由も、本日も様々な意見も出ましたけれども、現時点で合理性はないと私は感じています。第2の3に関しても、ゴシック本文、基本的な方向に賛同することが前提でございます。
 最後にもう1点、質問を事務当局にさせていただきます。部会資料32-2、第2の3、監護の分掌の定めというものが提案されています。この監護の分掌と、現行民法766条で既に規定されている親子交流や養育費の取決めを組み合わせると、現時点ではその中身も明確になっていないと思いますが、いわゆる共同養育計画のようなものを作成することができると理解してよろしいでしょうかという質問です。また、こういった養育計画における監護の分掌というのは、一つは、週のうち母親が監護する時間と父親が監護する時間を分ける、要は時間の配分という考え方だと思いますが、それだけではなく、例えば教育については母が行って、その他は共同で決めるといったように、身上監護に関する権利義務のうち一部分を切り取って母のみが行うといった形の分掌もあり得ると理解をしております。こういった取決めが父母の協議や家庭裁判所の調停審判によって定められることができるようになるのか、この点に関してお答えを頂きたいというのが質問でございます。
 すみません、長くなりましたが、以上でございます。
○大村部会長 ありがとうございます。武田委員からは第2の1、2、3、それぞれについて御発言がありましたけれども、1と3についてはゴシックの部分については賛成であるという御意見と承りました。その上で、急迫の事情ですとか、同居親に優先的な地位を付与するということについての御意見を頂いたと理解をしました。2については、ゴシックの(6)、(7)あるいは(注)の細部については、更に検討をしてほしいということで、留保ということだったと思います。質問は、(注2)の文言が変わったということと、監護の分掌の内容についてということで、2点あったと思いますが、事務当局の方で何かありましたらお願いします。あるいは、1点目の質問はやや一般性も持っていて、最後に条文として取りまとめる際の用語との関係といったことも含んでいたと思いますので、この点についても何かあったら、併せてお答えを頂いたらよいかと思います。

世田谷の被害者だったとは

○北村幹事

 御質問は2点あったかと思いますが、まず1点目の第2の2の(注2)のところの表現ぶりということで、有無及び程度が有無になっている点という御質問だったかと思いますが、これも他の法令等を参考にしながら、例えばハーグ条約実施法の規定などを参考に表現ぶりの訂正をさせていただきましたけれども、ここについては前回の部会資料の規律の実質的な内容を変更しようとするものではございません。御指摘のように、条文化に当たって様々な法令等を参考にしつつ、民法としてどういう規定を置けばよいのかというのも併せて検討しつつ、部会資料の方を作成させていただいているところでございます。
 2点目は、監護の分掌について御質問いただいたと思います。どのような役割分担を定めるかについては個別の事案によって様々だと思いますけれども、御指摘のように担当する期間を分担するという定め方のほかにも、監護に関する事項の一部を一方に委ねるという場合もあり得るのかなと思っております。御指摘いただいた共同養育計画というものについて、現時点で何か明確に定義されているものではないのですが、こういう監護の分掌であるとか親子交流の在り方、養育費について具体的な定めを組み合わせることで、様々な事項についての取決めをすること自体は可能になるのかなと思っております。そういったものは諸外国でもいろいろな形でされているもの、そういったものに近いものにはなり得るのかなと思っておりますが、いずれにせよここは更に御議論いただければと思っております。
○大村部会長 よろしいですか。ありがとうございます。

事務局案賛同得たね

親子に優しい世界に向かって,日々発信しています☆ サポートいただけると励みになります!!いただいたサポートは,恩送りとして,さらに強化した知恵と工夫のお届けに役立たせていただきます!