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「オトナの研究」3本(2017年8-9月のnote記事より)

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今回は、2017年8-9月のnote記事から、「オトナの研究」3本をまとめてお届けします。

10 研究論文を読むのは、本を読むよりも簡単なことです。
11 すでに確立した理論が自分の現場においても適用可能なのかということを検証するところからスタートする。
12 テーマからトピック、そしてリサーチクエスチョンへ。

10 研究論文を読むのは、本を読むよりも簡単なことです。

前回は、現場で問題を発見して「自分だけが気づいている」という楽しさを一瞬でも味わったら、先行研究の調査に移ろうということを書きました。先行研究の調査は Google Scholar で検索して、関係のありそうな論文を読むところから始めるといいでしょう。

論文を読むというと「とても難しくて私にはできない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、そうではありません。

その理由の1つは、論文は短いということです。印刷して10ページ前後というのが平均的な長さです。ですので、ある領域の標準的なテキストやハンドブックを数百ページ通読するのに比べれば、ごくわずかの時間で読むことができます。

論文の読みやすさの理由の2つ目は、論文には決まった構成があるということです。標準的な構成法があって、ほとんどの論文はその形式に従って書かれています。ですので、一度その構成を知ってしまえば、どんな論文も読みこなすことができます。論文の標準的な構成は次の通りです。

・要約 (Abstract) :この論文のあらましをまとめたもの
 ・「要旨」「要約」「あらまし」などの見出しがついている。
1. 導入 (Introduction) :その論文が扱おうとするトピックの背景と研究史
 ・「はじめに」「問題」「序論」などの見出しがついている。
2. 方法 (Method) :この研究で使った方法
 ・「方法」という見出しがついている。
3. 結果 (Results) :この研究で得られたデータと解釈抜きの分析
 ・「結果」という見出しがついている。
4. 考察 (Discussion) :この研究で得られた結果の解釈とその検討
 ・「考察」「議論」という見出しがついている。
5. 結論 (Conclusion) :この研究で見出された知見をまとめたもの
 ・「結論」という見出しがついている。
・引用文献 (Reference) :この論文で引用された文献のリスト
 ・「引用文献」という見出しがついている。

この構成は英語の論文でも共通です。1.から4.までの英語の頭文字をとって「IMR&D (Introduction, Method, Results, and Discussion) 」と呼ばれています。

このように論文は読む人に対してとても親切に書かれています。まず要約を読むことで、この論文を丁寧に読むべきかどうかの判断をすることができます。すばやく内容を知りたければ、結論を先に読むこともできます。引用文献リストを見れば、論文の著者がどのあたりの文献を読んでいるのかがわかります。

それでも、わからない部分に出くわして読みが止まることもあるでしょう。それは単純なことで、専門用語がわからないとか、分析方法の知識がないということが原因です。そうなれば、解決方法は簡単で、そこから調べていけばいいのです。わからないところから調べていく。それが最も効率的な勉強法になります。

11 すでに確立した理論が自分の現場においても適用可能なのかということを検証するところからスタートする。

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