見出し画像

【アドラー心理学の原点】(2) アドラー心理学は科学としてどんなパラダイムを採用するか

「アドラー心理学の原点」を、メンバーシップ特典マガジンとして公開しています。これを機会にメンバーシップにお入りください。月300円で初月は無料です。このマガジン単体で購入する場合は600円です。

2023年1月21日(土)

1999年2月8日のブログより

富山大学の3日間の集中講義でアドラーギルドの野田俊作さんをお呼びしている。聴講学生は20数名。学外からは富山・金沢から女性3名と、富山県内のカウンセリング指導員の男性4名が参加。私も時間の許す限り聴講している。

集中講義で呼んでくる先生にはすごい人が多い。わざわざ予算と時間を取って呼ぶのだから当然だ。しかし、私が大学生だったときもそうだったが、学生の時はそれがわからないのだよね。「猫に小判」状態だ。あのときに話をしてくれたのはすごい先生だったのだなと気がつくのは卒業してずいぶんたってからか、一生気づかないかもしれない。ま、それでもいいか。ともあれ、今日の話から、私のメモ。

アドラー心理学は科学としてどんなパラダイムを採用しているか

すべての行動には理由がある。その理由として二つの種類のものを挙げることができる。原因論(causality)か、目的論(teleology)か、だ。アドラー心理学は目的論を採る。

原因論が無力なケース

原因論とは物事の始まりを考える。ある特定の行動をしているのはなぜか。子どもの時のしつけのせいか、この人自身の性格のせいか、社会環境が悪いからなのか、など。我々が日常的に採用する考え方だ。たとえば「この子が不登校なのは、家庭の中で父親不在で母親が過保護だから」とか。原因には、大きく分けて三つの種類がある。内的なものか(性格など)、社会的なものか(環境など)、歴史的なもの(生育歴など)。

原因論が臨床場面でしばしば無力なのは、内的原因にせよ、社会的原因にせよ、歴史的原因にせよ、第三者が介入しても動かせないものが多いからだ。性格は第三者は変えられないし、社会環境も大きくは変えにくい、生育歴は過去のことで変えようがない。また、要因が多すぎるので検証実験もできない。

目的論が有用なケース

ここから先は

1,519字

ご愛読ありがとうございます。もしお気に召しましたらマガジン「ちはるのファーストコンタクト」をご購読ください(月500円)。また、メンバーシップではマガジン購読に加え、掲示板に短い記事を投稿していますのでお得です(月300円)。記事は一週間は全文無料公開しています。