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6. “ライフスタイル”とは何か

今回のポイント
・ライフスタイルは性格というよりも、その人がどこに向かっているかという「動き」として表現されたもの
・人は自分の人生目標に照らし合わせて、その方向に合致するように自分の「動き」を決める
・ライフスタイルはだいたい6歳から10歳までにその基本的「動き」が形成される
・ライフスタイルを変えるためには、まず自分のライフスタイルを確認する必要がある

6.1 “ライフスタイル”とは何か

今回は、「”ライフスタイル”とは何か」というトピックです。

私たちが他の人たちを理解しようとするときにまず注目するのはその人の性格ではないでしょうか。初めて会った人と話をしたり、行動を共にしたりする時間が増えていくにつれて、最初のうちは相手のことが全くわからなかったのに、徐々に相手の行動様式がわかってきます。外向的だったり、引っ込み思案だったり、好奇心旺盛だったり、几帳面だったり、努力家だったり、楽しみを追求するといったような性格特性がわかってきます。

こうしたことは外から観察を続けるとある程度わかってきます。たとえば、パーティーや飲み会の席での振る舞いを見ると、その人が誰かに話しかけられるのを待っているのか、自分から話しかけにいくのかのどちらかが観察できます。時と場所によってそのどちらも起こるかもしれません。しかし、何回もそうしたことがあれば、確率的な傾向としてその人の性格が明確になっていくでしょう。

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アドラーが考えた「ライフスタイル」という概念は、こうした性格という考え方をより広く捉えています。ライフスタイルはその人がどこに向かっているかという「動き」として表現されたものだと考えます。どこに向かっているかというとその人独自の「人生目標」に向かっています。たとえば「私は周りの人から好かれるべきだ」という人生目標を持っている人は、飲み会で話しかけられるのを待っている方がその目標に近づけると思えば、黙って待っています。しかし、自分から話しかけた方がその目標を達成できると考えれば、積極的に話しかけるでしょう。

つまり、どのように振る舞えば良いかということを決断するときは、自分の人生目標に照らし合わせて、その方向に合致するように自分の「動き」を決めるというわけです。いや、自分はいちいちそんな面倒臭い決断はしていない、という人もいるでしょう。また、そもそも自分の人生目標がどういうものなのかを知らない、という人もいるでしょう。

その通りで、自分の人生目標が一体なんなのかということを意識的に考える機会はあまりありません。しかし、だからといって人生目標がないということにはなりません。自分の人生目標は、自分にとってはあまりにも自然なものなので、それについて改めて考える機会はないのです。そして自分の決断をその人生目標に照らし合わせるという思考過程も、あまりにも自然に、瞬時に、おそらく無意識下で行われるので、いちいち考えて決断しているという意識にはならないでしょう。

6.2 ライフスタイルはどのように形成されるか

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