2-教える技術19

【学びの場】07 学習者をそろえるための方法:参加者の目的を一致させること

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。しばらく「学びの場とその設計」という話題で書いています。

前回は、学ぶ目的には「習得、居場所、勲章」の3つがあることを言いました。つまり、何らかのスキルを身につけること、一緒に学んでいる人たちがいる場所の居心地がいいこと、そして、最終的に得られる修了証書や認証や免許です。これらはそれぞれの重みづけを持って複合的に絡み合っています。

たとえば、私はテニススクールに入って毎週テニスのレッスンを受けています。当初の目的は、テニスのスキルを身につけて上手になることです。これが習得の目的です。スクールに通い続けると一緒のクラスで仲の良い人ができてきます。その人がいるからあのクラスに行こうという気持ちになります。これが居場所の目的です。最後は勲章です。しかし、通常テニススクールには卒業はありません。ですので勲章としての卒業証書は目的になりません。でも、そのスクールに所属していることそのものが印としての勲章になるかもしれません。このように3つの目的が絡み合って、テニススクールに行くことの目的となっています。

この3つの目的の重みづけは個人によって違います。ある人はただひたすらにテニスのスキルを身につけることが主な目的であるのに対して、別の人は特定のクラスに入って、そこに居心地の良い居場所を確保することが主な目的であったりします。このように目的の重みづけの違う人たちが同じクラスに入ると、ズレが生じて、うまくいかないことがあります。前者の人がスキルの習得のために厳しいトレーニングを望むのに対して、後者の人はトレーニングはそこそこにして、むしろレッスン生同士の交流を望むでしょう。そうすれば次第に両者の亀裂は大きくなり、トレーニングのやり方について意見の対立が明らかになるでしょう。

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