1-アドラー用ヘッダ

【アドラー心理学の理論】#18 個人の主体性:勇気と怖れ、そして自己欺瞞

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。
4月12日(木)から早稲田大学エクステンションセンター中野校で「アドラー心理学入門」(全8回)が開講しました。この連載では、講座の内容を同時並行でお伝えしていこうと思います。講座に参加できない方にも、その雰囲気が伝わればいいなと思っています。

前回は「人生の宿題=ライフタスク」として、交友のタスク (The Social Task) 、仕事のタスク (The Work Task)、愛のタスク (The Love Task) の3つがあることを紹介しました。ライフタスクの中心は対人関係をどうするかという問題です。

これらのライフタスクに直面して、それを果たそうと決心している状態を「勇気 (Courage) のある状態」と呼びます。逆に、ライフタスクから逃れようとしている状態を「怖れ (Fear) ている状態」と呼びます。

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なぜ私たちは怖れるのでしょうか。それはその課題を完璧にこなすことができないからです。しかし、よく考えてみると、課題を完璧にこなすことができないこと自体はまったく問題ではありません。最初からうまくできる人はいないし、試行錯誤したり、失敗をしながら私たちは成長していくからです。

では何を怖れているのでしょうか。それは、完璧にこなすことができなかった自分が誰かに評価されることです。評価されて不合格をつけられることを怖れているのです。評価する誰かとは、自分のまわりにいる知り合いかも知れませんし、あるいはネット上の見知らぬ人かも知れません。また、あるいは自分自身が自分を評価する場合もあります。

これはその人のライフスタイルによってある程度占うことができます。BやCの対人関係優先のライフスタイルをもっている人は、自分が他者にどのように評価されるかについてとても敏感です。それに対して、AやDの課題達成優先のライフスタイルをもっている人は、他者からの評価はそれほど気にしないけれども、自分自身が自分を評価します。Aの人は自分のペースでできないことを怖れます。また、Dの人は完璧にできない自分を認めなければならないことを怖れます。

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