9-号外_バラ

「授業のデザイン」3本(2017年7月のnote記事より)

noteマガジン「ちはるのファーストコンタクト」を定期購読いただき、ありがとうございます。定期購読を開始してもその月より前の記事は読めませんので、定期購読者向けにときどき過去の記事をまとめて読めるようにしています。

今回は、2017年7月のnote記事から、「授業のデザイン」3本をまとめてお届けします。

01 デモンストレーション授業を受ける立場になって初めて気がつくことがある。
02 システミックなつなぎ目の見えない授業。
03 人は解決しなければならない問題を解決しようとするときに最もよく学ぶ。

01 デモンストレーション授業を受ける立場になって初めて気がつくことがある。

今年度のFD/SD研修では、30分程度のデモンストレーション授業(デモ授業)を取り入れることにしました。研修の中で、私自身が教員役で授業を行い、参加者は学生役としてその授業を受けるという形式です。

デモ授業をすることによって、次のような効果を期待することができます。

1つ目は、授業デザインの原則を具体的な形で見ることができます。研修では、インストラクショナルデザインに基づくいくつかの原理を解説します。たとえば、ケラーの「ARCS動機づけモデル」や、パイクの「90/20/8の法則」や、私の「マイクロフォーマット」というような原理です。

これらの原理そのものはシンプルなものです。しかし、具体的な授業の中でどのように使っていけばいいのかということがなかなか伝わりにくいのです。デモ授業の中にそうした原理をどのように埋め込んでいくかということは、そのデモ授業をよく観察することで理解することができます。

2つ目は、自分が学生として授業を受ける立場になって、初めて見えてくることがたくさんあります。先生の話が少し長く続くと、だんだん集中力が切れてくるということが実感できます。初めてやることについては、簡単そうに見えても不安になるということを実感できます。今やっていることが自分にどのように関係があるのかということを納得できないと、真剣になれないということを実感できます。

デモ授業は、小学校などで行われる研究授業とは少し違います。研究授業では観察する人は、あくまでも第三者の立場でその授業の様子を見ています。しかし、デモ授業では、自分自身が授業を受ける立場になります。そうした立場に身を置くことによって初めてその授業が効果的であるかどうかについて判断できるのです。

先生の説明の仕方、スライドの提示の仕方、グループワークの指示の出し方、時間管理の仕方、学生を指名するときの仕方、こうしたたくさんの細かいところに目がいくようになります。こうした体験は、次に自分が授業をやるときになって影響を及ぼしていくでしょう。

最後に、まだ未完成ですが「教え方のモデル→デモ授業→実際の授業」へと影響が伝わっていく図を示しておきます。

02 システミックなつなぎ目の見えない授業。

前回は「デモンストレーション授業を受ける立場になって初めて気がつくことがある」と題して、自分が学ぶ立場になって初めて実感できることがあること、そしてそれが自分の授業のやり方を変えていく原動力になることを主張しました。

ここから先は

2,827字 / 2画像
この記事のみ ¥ 100

ご愛読ありがとうございます。もしお気に召しましたらマガジン「ちはるのファーストコンタクト」をご購読ください(月500円)。また、メンバーシップではマガジン購読に加え、掲示板に短い記事を投稿していますのでお得です(月300円)。記事は一週間は全文無料公開しています。