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ミレニアル世代の建築家が考える建築家のこれから

こんにちは、こーだいです。

IT企業に転職した際に経緯についてのnoteを書いたのですが、この話を建築業界ですると「あ〜そっち行ったのね。」とだけ言われ、もどかしさを感じることがあります。

そっちってどっちや!!!

建築家を辞めたつもりはないし、会社でも建築家ですって自己紹介してる。今回の転職について、建築家という職能の視点から見たときに、どのような意味があるか?について、考えていることを書ければいいなと思っています。

そもそも何をしているか?

本題の前に、少しだけ何をしているかについてサマリーします。

PLAIDというITベンチャーで、「OMO」という領域の事例開発に取り組んでいます。「OMO」は「Online Merges with Offline」の略称で、簡単にいうと「オンラインとオフラインを切り分けずに、体験や生活やデータについて、考えよう!」という概念です。ここでは詳細は割愛するので、詳細は以下のnoteを読んでみてください。

本題

さて、ここから本題です。

ぼくは、建築家という職能が、今までのように幅広く空間のデザインを任せられる存在で居続ける為には、異業種にダイブしてでも、空間の価値について検討されている場に向き合い、そのそこに建築家が介入する価値を提示する必要があると考えています。

建築家という職能の変遷

まず、過去から今に到るまでに、建築家がどのような仕事をできていたか?についてさらってみようと思います。(歴史的にこの時期にこれがあったという話ではなく、あくまで、すべての職や産業で同じように起きる現象について、建築家という軸で考えていると思ってください)

職業として生まれたての頃は、空間に関わるあらゆる物事を建築家が引き受ていたと思います。

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そこから時間が経つと、各業務がそれぞれ職業として分化していきます。

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これは、どの分野にでも時間が経つに連れて、効率面でも、技術面でも、それだけで職業として成り立つ程の専門性を帯びてくる一般的な流れだと思います。この中で、意匠設計の専門家が、現在建築家と呼ばれる職業ですが、生まれたての頃と比較すると、担当分野が大きく減っています。

これとほぼ同時、もしくは少し遅れて、衣装設計の枠組みの中でも、分野による細分化が起きます。

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「建築家=アトリエ事務所」という認識も、現在では解体したと思っていますが、仕事の種類を自らあまり限定していない、という点で、ここでは仮に「建築家=アトリエ」とすると、こちらも担当分野が減少していることがわかります。

もちろん、このような流れに対し、過去何もしてこなかったわけではなく、様々な試みがあったと思います。事実、都市計画や家具デザインの仕事を建築家が全くできないわけではないし、重要な公共空間の多くは今まで建築家が手がけてきたと思っています。
しかし一方で、仕事ができる回数は減ってきていることは否定できないと重います。残念ながら数々の取り組みは、世の中に対して、価値提供をしっかりとできていなかった。もしくは、伝え切れていなかった。というのが今の状況から見た現実かなと思っています。

事実、「空間=建築家」と認識がとれず、知らず知らずの内に建築家がほぼ関与できていない、空間設計の領域は既に存在しています。

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ここにある課題

変遷を振り返ったときに、見えてくる課題は以下です。

・そもそもターゲットにしている空間を昔から拡張できていない。
・世の中に対するValueの提示を世の中の言葉を使ってできていない。

どちらも、世の中の移り変わりと共に再定義を繰り返すことが一般的だけど、今までその速度が遅かった。ここを見直す必要があると思います。

これからのアクション

この下向きな現状を上向きに変えるために必要なことが、新たに空間のニーズが生じ価値について検討されている場で、建築家の職能の価値を提示することで、設計領域として取り込むことだと思っています。

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この状況がどういうことかわかりづらいかもしれませんが、建築用語でいうプログラムが新しく生まれている状況です。ちょうど今の時代、もの凄い数のプログラムが生まつつあります。ただこれをどの職能が引き受けるのかはまだ定まっていません。

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ここに建築家が関われるかが、今後を左右すると思っていて、何もアプローチをしなければ、先ほどの農業施設の例のようになるわけです。すでに、多くの職能が取り組みを始めているものの、建築家のアクションは圧倒的に少ない。新しく空間を設計できるチャンスがあるのに全くタッチしていない。ここにもったいなさを感じています。

ここにアクションを仕掛けようとしているのが今回の転職です。別に業界を出たいとは全く思っていなかった。けれど、業界内にその環境が全くないから、建築家として空間のデザインの仕事をする為に、別業界に出ざるをえなかった。だからこそ、そっち系と言われることにもどかしさを感じます。

建築家で在り続けるために

同世代の人と話をしていると、建築家としてやっていけるかという、危機感を耳にすることが多々あります。事実、できる仕事の数は昔と比べて減ってきていると思います。

これは、建築家が社会に対し、その価値を正しく伝えて来れなかった結果で、空間は人が生きる為に必要なものであることは変わらないけれど、どう必要なのか?は時代によって変わります。

時代が変わっても、変わらないものを目指すべきだとは思うけど、その時に過去を見つめるだけでは不十分で、新しくおきている変化の中にある不可逆な変化、つまり、この先変わらないもの。を見つめる視点を大事にしたいと思っています。

読んでいただきありがとうございます。サポートいただけたら、デザインの勉強に使わせていただきます。