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春うらら

今日は、花粉が少ないとYahoo天気にでていたので、久しぶりに洗濯物を外に干した。
空が青い。

リビングのカーテンを開け放つ。
正面にあるカツラの樹が芽吹くといい目隠しになるので、葉がある間はカーテンを開けたままにする。
すぐ横にある満開のジューンベリーの花にクマバチが集まり、ブンブンと羽を鳴らしながら蜜を集めている。
その度に、花びらがはらはらと落ちる。

カツラの樹にペアのヤマガラもやって来た。
庭に樹を沢山植えてよかったなと思う。
優しく風が吹いて、生まれたばかりの緑のにおいと、縁側に干したこたつ布団のにおいが混ざり合って、なんとも安心するにおいがした。
冬の間、一緒にこたつに入っていた、夫と私とマコのにおいだ。


マコは2歳になる。
ちょうど今頃の季節に生まれたのだ。

やんちゃだったマコはとても優しい猫さんに育ち、我が家では一番の「人格者」だと言われている。

こたつでも、他の家族が足を入れると、マコはうまい具合に隙間に移動して、私たちの足に顔を乗せる。
先に入って、1メートルほどに伸びてリラックスしていたマコだが、足を突っ込まれても、嫌な顔をしたことは一度もない。必ず譲ってくれるのだ。

マコは分け隔てせず、夫と私に接する。
完全に等しく愛をくれて、どちらかが寂しい思いをすることもない。

それはお客さんに対してもそうなのだ。
昨日、名古屋からはるばる遊びに来た夫の友人に対しても、どちらのほうが好きとか、そういう態度はとらずに、物理的に近い方の人から挨拶をしていく。
ニャァ~と言いながら近づいて、ひとしきりスリスリしたり、触ってもらったりした後は、もう一人のほうに行き、平等に接する。
猫が苦手そうな人には、あまりしつこくしない。
なんて立派な態度なんだと、いつも感心している。
マコの接待のおかげで場が和む。
猫は嫌いと言っていた実家の母でさえも、マコのことはかわいがっている。
本当に、我が家にはもったいないくらいの猫さんが来てくれたものだ。


今日、夫は友人とカキ小屋に行ったので、私は気持ちよく開けた掃き出し窓の前で本を読む。
スーパーで買った京都のそばぼうろをお供に、昼だけどビールも飲んでしまおう。
そば粉のいい香りがする。
春のにおいは、何とブレンドしてもいいにおいだ。

振り返ると、マコは寝室の窓のところで、同じく春のにおいをかいでいた。
前に棚があって、ずっと開かずの窓だった上げ下げ窓を、マコが見つけて隙間から外を見るようになったので、物を整理して、窓の桟にクッションを置いてやった。
すると、とても気に入って、いつもそこから外を見たり昼寝をしたりして、自分の部屋のように使っているのだ。

私に気づいてマコがこっちに来る。
今度は一緒に外を見る。
マコが、鳥やクマバチや花びらを見上げている。
マコと見る景色は本当にきれいだ。

家族のにおいと春のにおいが混ざり合って、これ以上の幸せはないような気がした、春のうららかな午後だった。

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