あの日以来、私の好きな食べ物がいちごジャムのパンになったのは間違いない。でもそれは、清永きよながと一緒に食べるいちごジャムのパンと言ったほうが正しいかもしれない。
　だって今、好きなはずのいちごジャムのパンを食べていても、なんだかどこか寂しいから。

『本当にごめん』

　朝、清永からメッセージが届いた。熱が出て、映画を一緒に見に行けないという連絡だった。

『私は大丈夫だから、お大事ね。ラジオ聴いて元気になりますように』

　本当はすごく残念で100％大丈夫ではなかったけど、清永が元気じゃないのは心配だから、祈った。

『サンキュ。マッハで元気になるから、そしたら映画見に行こう』

　今日の夜は清永も私も聴いているお気に入りのラジオ番組がある。本来だったらその時間も寝ていたほうがいいとは思うけど、清永はきっと聴く。だから、採用されるかはわからないけど、私は清永の好きな曲をリクエストしようと思う。早く元気になれ～と念を送りながら。