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地方の農産物流通が崩壊しつつあるという話。皆さんならどうする?

前回の記事、たくさんの方に読んでいただきました。ありがとうございました。今回は何か課題がないかな?と考えている人にぴったりのお話です。

今回の話のいきさつ

「& MARKET KOFU」という新しいスタイルの八百屋を運営しております。
ダイレクトトレードで取引させていただいた農作物を買取販売しています
・販売しきれないものは「キッチンのある八百屋」というコンセプト通り自社で加工して販売しています。
サンドイッチ作ったり、惣菜作ったり、自家製ソースで飲み物やかき氷など出したりしています。

お店に来てくれる地元のお客さんのお話

私たちが食材を販売する方法は大きく3つあります。
・遠方に住む人に旬の食材セットを配送する方法(通販)
・& MARKET KOFUでメニュー化されたお野菜料理を販売する方法
・& MARKET KOFUに来店してくれた人にお野菜を販売する方法

基本的には小規模で多品種の農家さんが栽培したお野菜を中心で扱っているため、珍しいお野菜やなかなかスーパーにないお野菜も販売しています。
旬のお野菜にトライすることで、料理は同じ調理方法でも見違えるほどおいしくなります。
そのため、調理しながら試食してもらい、お野菜を買って帰ってもらうというのが新しい販売方法です。

ちなみに、一番の売れ筋は「&MARKET のお野菜セット」で、店頭販売だとこちらを税込500円で販売しています。地元の人でもよく喜んで買っていってくれます。旬のお裾分けです。

この販売方法は、生産者の方から買い取ることによってできる販売方法で、山梨らしいさまざまな地形・標高の野菜を織り交ぜることで、標高差で時期をずらした広い旬を味わうことができるのです。

興味ある人はオンラインショップもあります。ぜひ覗いてみてください。


ピーマン、10個100円の衝撃

そんなことをやっているのですが、個人でも道の駅を巡るのが好きです。
とある道の駅の話。
ピーマンが10個で100円で販売されています。しかも、特売セールで大行列!というわけではありません。大量の売れ残りです。

都会の人が見たら、多分びっくりすると思います。スーパーだと300-500円くらいで販売している量でしょうか。
他にもなすが5本入って100円とか、きゅうり10本で150円とか、そういった価格で販売されているものをよく見かけます。
地元の人からすれば、「こんなに食べきれない」「まだ家にたっぷり野菜あるから買わなくていいのよね」とのこと。

山梨の人は野菜なんて買わないのよ

& MARKETを運営しているとお料理好きな方がよくいらしてくれます。
その時にお野菜のご案内をしていると「山梨の人はねー、いっぱいお野菜もらうからね、買わなくてもいいくらいお野菜もらうのよ
というお話をよく伺います。たぶん今までこの話は数十人から聞いたくらいなので、本当なのだと思います。

確かに、私も山梨に移住した時にドアノブにももが引っかかっていたり、大量のブドウをお裾分け、ともらったこともあります。すごい世界です。

お裾分け文化の良さと課題

もちろん、野菜は家庭菜園で趣味でやっている方がたくさんいたり、お裾分けで喜んで食べてくれる人がたくさんいれば、あげたくなる気持ちもわかります。
また、もらった方も料理する良いきっかけになるのでお裾分け文化自体はとても良いと思います。
ただ、「使いきれないほどのお野菜やフルーツをいただいてしまう」こともよくあるようで、使いきれないと、また他の人にお裾分けが広がっていってしまう、ということもよくあるようです。
あと、異常に桃アレルギーの人が山梨には多いんですが、あれもお裾分け文化から来てる?誰か教えてほしい。

野菜はもらうもの、と考える怖さ

なぜお裾分けをするのか?という話になります。
農産物流通に関わったことのある人なら、いろいろ思いつくことがあると思います。
・規格外品扱いになってしまい、農協等に出荷できなかったものが沢山出てしまったから
・豊作になり、需要を超えて取れすぎてしまい、捨てるのが忍びないからあげる
・市場価格が下がってしまい、このまま出荷しても赤字になってしまうくらいなら、出荷制限のために誰かにあげてしまう

こういった理由で野菜の価格は日々変動し、下がるとともにお裾分けの量は増えます。お裾分けが増えると同時に、舞い込んでくるのがこの道の駅なのです。

道の駅で販売するケース

道の駅で販売している方は、お話しを伺っている中では3種類くらいいるように感じます。
・市場出荷はしているが、規格外のものだけ道の駅で販売する。
・基本的に道の駅をメインの出荷先としており他にもスーパーやレストラン等に卸している。
・自家用に加えて取れすぎた時は道の駅に出荷する
他にも色々なケースがありますが、こんな感じです。
この全ての属性の方たちが一気に出荷する時、ガタッと値段が崩れているように感じます。

産直ECで販売するケース

このままじゃダメだということで、産直ECで販売するという農家さんも増えてきたように感じますが、最近はやけに訳あり、規格外の商品が増えてきた方に感じます。
いわゆる「割れせんべい問題」という問題があります。
煎餅製造の過程で割れてしまったものを安く販売していたら人気に火がつき、最終的には正規品を作って割って売ることによりブランド価値を下げてしまったという有名な話です。
規格外や訳あり特化のECなども増えてきており、このマーケットプレイスも厳しい状況になりつつあります。

レストランなど飲食・給食に卸すケース

そうはなりたくない、とレストランや給食、病院などに卸しにいく生産者もいますが、出荷の手間が増える割には大きな規模で野菜を買ってくれる事業者はあまりいません。

適正な価値を払ってくれる消費者の取り合い

間接的にも、直接的にも、価値のあるものを価値ある値段で取引してくれる人を見つけなければなりません。
売り手は消費者の啓蒙も必要だと思いますが、なかなか安売りしたくなる売り手の気持ちには勝てません。値段は下がり続けるばかりです。
これから高齢化と人口減少で胃袋は減っていくばかりです。
その割には世界は食糧危機だと言っています。
自分たちは何を作るべきか?我々も何を流通させて健全なマーケットを作っていくか、考える必要があるように思います。

皆さんなら、どうする?

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