棲家


その倉庫には
いくせんもの材料たちがぐるぐるまわる
いつかまた持ち出される時までは
絡み合い、共鳴しながら
その均衡を保っている

いくつか形を作られたものも
別段本質は変わっておらず
その元素のままなのであるが
偶発的に生まれた意思が時に行く道を誤らせる

しかしその道もまた生きて帰りし道であり
どんなに逃げたつもりでも
私たちの体は釈迦の手の上
そっと掴まれてまた元の軌道に乗せられる

行くあてもなく彷徨う心も
ぐるりと回る、その円を描く途中
始まりと終わりは同じところで
眠りだけが私たちの魂を待っている

残された仮の棲家も
また自然へ還っていく
生前のエゴもなにもは置いていって
輪廻の中で再びまわる


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