かたる 2


別にポーズで構わないでしょ
と君はいう
そんなことは分かってるけど
と僕は不満げに答える

誰よりもまるで自分のことを分かっていないのに
この世の事は自分だけが知っているかのように
人が右と言えば左、黒と言えば白、
ほつれたサビキ釣りの糸のような精神で
ああだこうだと偉そうに語ってきた

やわらかくて弱々しい心は強い外殻をもとめる
言論と思想と、少しばかり人より斜めからものを見られる唯一の特技でもって
カンカン、カンカンと大工が金槌を打つように爽やかに
あるいはカタカタカタカタとミシンが走るように軽快に
ペラペラと口上を述べて
満足したかと思うとその取り繕った毛皮を被り
みんなに見せて回る

あるいは芸術、
あぁ芸術なんてもってのほかだ
1番語ってはいけないものだ
いったいこの世の何人が真の芸術家なんだろう
僕のように芸術家の真似事をしているうちに、
自分のわけがわからなくなって
いつからか自分が芸術家だと思い込んでしまった
ドン・キホーテだらけに思えてくる

あぁ、どうか皆がそうであってほしい
みんながみんな、自分が憧れる毛皮をかぶって
時には本当の自分より弱く見せようとして
(どうもそれがアーチストらしいから)
どちらにしても内心はビクビクしながら
必死に必死に演じて生きているのであってほしい

その不安で今日も眠れないのだ
いや、それすらもポオズ
ポオズというそれらしい仮名使いをつかってみても、
これすらももはやポーズであって、

ただ不安を吐き出すだけの芸術に
意味はあるのだろうか

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