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ロシア・ウクライナ戦争についてモゴモゴ言う。

自分の一番近くにあるロシア・ウクライナ戦争について書く。
戦争というマクロな出来事の中で紛れもないミクロな事実を記すこと、その事実を知った上での自分の考えの変遷を記すことがこのnoteの目的で、どちらが善でどちらが悪かという主張はない。が、話の性質上ウクライナが主語になることが多いと思う。ご容赦ください。
 
さて、自分はここ1年くらい仕事でポーランド・ワルシャワ在住のポーランド人とメールでやり取りをしたり、月一で打合せをしたりしていた。いつもにこやかで親切でバリキャリ感がある女性だ。日本で働いていた経験を持つ彼女は言動にも日本への愛情の深さもたびたび感じさせる。4月になれば、桜の話をするし、いつかまた日本で花見をして外でお酒を飲みたいと楽しそうに話していた。
 
3月2日、そんな彼女からのメールはこんな書き出しで始まった。

It has been hell in Poland also since then.
(それ以来ポーランドでは地獄のような状態が続いています。)

2月24日に最後のメールを送っていた。ちょうどその日はロシアがウクライナ侵攻に踏み切った日だったし、返信してる場合じゃないだろうと思いつつ、心配はしていた。
 
いつも明るい彼女からそんなセンセーショナルな単語が出るとも思っていなかったから、体に力を入れてその続きの地獄を読んだ。
 
・ウクライナからポーランドにはこれまで50万人以上が避難してきており(3/8時点で120万人超)、ポーランド人は皆、自主的に食料・金銭などの支援を行っている状況で、その中でも彼女は滞在場所を提供するホストとして支援活動に取り組んでおり、今会ったことのない4人家族(1歳/10歳/母/その母)と一緒に暮らしていること。
 
※ちなみに、地理的にウクライナの東~北側がロシアとロシアの同盟国であるベラルーシとの国境に面しており、南側は黒海の上に2014年ロシアに併合されたクリミア半島がくっついている。そして西側の国境に面している最も大きな国がポーランドにあたる。

・その家族たちは雪や霜に覆われた中で20時間以上待って、国境を越えてきたこと。母親は1歳の赤ちゃんを腕に抱えながら、10個の手荷物を持ち、飲まず食わずで国境まで辿りついたこと。
 
・粉ミルクを温めることができず、赤ちゃんも何も食べられず、氷点下の中に長時間さらされて病気になっていたこと。まだ赤ちゃんは健康保険に加入していないため、診療を手配することが非常に困難であり、まだ病気が続いているということ。
 
・戦争難民としてその家族のために公式な書類を整理するのにも大変苦労したということ。
 
・病気をしている赤ちゃん以外の家族は元気ではあるものの、毎晩悪夢に襲われ、叫びながら目を覚ますこと。彼らは国境を越えるまでに、路上で死体を見てきたし、武器で脅されてきた。
 
・ベラルーシ国境への核配備の可能性があるニュースを受け、家族はさらに西(おそらくドイツ)に行くことを考えていること。
 
・キエフで戦っている子供たちの父からは何も連絡がないこと。
 
言葉が詰まるほどの地獄だった。
 
どうにか、メールを返そうとするけど、涙が止まらない。
文面を作っては、消して、また作っては、消して。
今までは「どんな理由があっても戦争はあるべきじゃない」とか「戦争反対」とか自分も思っていた。
ただ、そんなことは誰しもがわかっていて、戦争が事実として起こっている。

メディアに対して、反戦のグルーブを醸成するという意味では何かしらの意味があるかもしれないが、この文脈ではなんの効果もなかった。

平和が当然のように寝転がっている日本に暮らす若造が渦中にいる人にそんなことを言ったところで、反吐が出るほどの無力感。
無力にも程がありすぎて悲しすぎて、またマスクの内側に涙が溜まっていく。
 
彼女には正直に何といえばいいかわからず、無力さを痛感していること、彼女を含めたポーランドの方々の支援を誇りに思いますとお伝えした。
 
次に返ってきたメールでも、ウクライナのすぐ隣のポーランドにいる彼女でさえも無力さを感じているということを伝えてくれた。
We are all helpless, just standing here and looking at all those innocent people being killed for nothing.
(私たちは皆無力で、ただここにいて、何もせずに無実の人々が殺されていくのを見ているだけだ。)
 
彼女の言葉が痛い。
難しすぎる。

答えがある世界に慣れていて、答えを出すことで安心感を得られることもわかっているから、どうにか自分の中で結論づけようとするんだけど、白でも黒でもない世界が確実にそこにある。
 
こうゆうときって、まずは事実を持っている人がその事実を他の人に教えてあげることが一番いいんじゃないかなと思った。一次情報に近ければ近いほどいいと思う(と言いつつ、自分の話も二次情報)。あとは、ミクロな情報とマクロな情報をちゃんと行き来すること。ミクロなことばかりに目を向けてると、自分の居場所がわからなくなるし、適切な判断もできない気がする。別に中道を取れってことじゃない。ただ、考える上で、ある程度の情報が必要だと思う。
 
つまるところ、情報を取って、自分の頭で考えて、行動に移すしかない。
 
答えのない問いに答えのない解答を出してみる。
 
一日でも早く、ウクライナの方々も、ロシアの方々も傷つかない日がくるように祈りを込めて。
 
#ロシア  #ウクライナ #ロシアウクライナ情勢

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