おやちにて
まずはコンビニエンスストアに入って、求人雑誌と遅めの昼食を買う。
北の大地で一か月間、仕事をしながら生きていこうとした1日目は、もうすでに3分の2の時間が経とうとしていた。
まだ雪深かった札幌。どこで食べてよいか分からず、通路の端っこで食事をした。寒さの違いに驚き、それに慣れている人々に驚いていた。
「どうする?」
「1日目だから観光でもしようか?」
「泊まるところは?仕事は?」
「まあ、なんとかなるのでは」
そんな2人は小樽に向かって列車に乗った。
小樽に着くと、それはまた、内地とは違う見たことのない風景が広がっていた。港に向かう道、歩き方もまだ慣れてない2人。
そのときに声を掛けてくれた道民の2人
「上手に歩けますか」
笑いながら言われたので
「大丈夫ですよ」
と胸を張り、笑いながら答えた
「おもしろい子たちだね。一緒にこの辺、回らない?」
「お?ナンパですか?」
「なんだ、なまら歩き方変だったので、心配して声を掛けたのにそんなこと言うのか」
「ごめんなさい・・・」
「で、どうする?」
「回る?回らない?」
「この辺を案内してくれませんか」
私たちは4人で、小樽港近辺を回りながら、ガイドをしてもらったり、お互いの事情を話したりして過ごした。
北の大地の夜は早く、あっという間に日が暮れた。話は尽きず、帰りの列車の中でも楽しく過ごした。まるで最初から友達だったように。
札幌に着き、連絡先を交換した。
「どうしても、困ったことがあったら、電話して」
「ありがとう」
2人は地下鉄に乗って帰ってしまった。
私たちはまた北の大地のスタート地点。
「どうする?」
「ホテルの予約をしよう」
私たちは駅の案内板を見ながら携帯電話で片っ端から連絡した。ほとんどのホテルが満室だった。
「一番高そうなホテルだけど大丈夫?予算ある?」
「まあ、かけてみよう」
かけてみると、部屋が1つだけ空いていた、それもツインルームで階が上の方ということ。
「これは高いなぁ・・・」と思い、
「まさか、一人5000円で泊めてくれませんよね」
と、ダメ元で言ったら
「一人4800円ですね」
と言われた。すぐさま予約を入れて一番高そうなホテルに向かった。
着いてから一休みをして、お風呂に入り、窓の景色を見ると札幌駅前の素敵なイルミネーションが目に入ってきた。
まずは、1日、何とか終わった。
一番高そうなホテルはレイトチェックインの際、空き部屋があると安く提供していたらしい。翌日、こっそり私たちに言った。