見出し画像

オヤチニテ

大谷地に着いて電話をする。

道民の一人が電話に出てくれた。

「じゃあ、今から行くから」


私たちは数十分待った。すると、昨日会った一人が笑顔でやってきた。

「本当に頼ってきたんだね」

「頼るしかなかったから」

ここで初めてノリさんという名前だということが分かった。歩いて10分くらいのところにアパートを借りて過ごしているようなのだが、どんな人だか全く分からない。私たちは歩きながら自己紹介をしていった。

途中でセイコーマートという、コンビニに寄った。

「内地にはないよね?」

「な、内地?」

「あ、本州のことだよ」

北海道にはセイコーマートがたくさんあった。記憶をたどれば着いてからたくさんあったのだが、どうにかしなくてはという思いが先走って、オレンジ色の看板のことなんて、ただの色だと思っていた。

コーヒーと食べ物を買ってノリさんの家へ。
ノリさんの家はワンルームでほとんど物が置いていない。冷蔵庫はベランダらしい。確かに外に置いておけば、冷蔵庫代わりになる。

出会いに乾杯をして、買った食べ物を食べた。すると友達、名前をみっちゃんとしよう。みっちゃんが、

「ふろ入りたい」

と言い出した。

「銭湯」

とノリさんは言い放って、準備を始めた。みっちゃんと私も準備をして銭湯に向かった。

雪がふりだしたのにもかかわらず。

「コインランドリーで待ってて」

男女に分かれ、つかぬ間の時間で疲れをとり、汗を流す。この時分かったのだが、ノリさんは長湯だった。

待ちくたびれたコインランドリー

外は雪

見知らぬ土地


2日目が終わる。

3人でノリさんの家に帰り、深夜まで飲みながら。