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セッション定番曲その88:Sunny by Bobby Hebb

セッション定番曲。これまで「最も演奏され、最もレコーディングされた曲のひとつ」でもあるようです。私はずっと「なんかダサい曲で、歌うの嫌だな」と思っていたのですが、あるキッカケで歌うようになりました。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:弘田三枝子

この曲は1963年に書かれたものですが、1965年には当時の「天才少女ジャズシンガー」弘田三枝子によってニューヨークでレコーディングされています、まだ18歳か19歳。作者のBobby Hebbより先にです。堂々とした歌唱。

当時の日本のレコード会社とアメリカの音楽界の関係性はよく分かりませんが、「ジャズを歌わせるならアメリカだ」と思い切って投資をして渡米させて、レコーディングに際して探した新曲が「Sunny」だったのもしれません。

これはMCネタで使えますね。「実はこの曲を一番最初にレコーディングしたのは日本人女性だった」と。

ポイント2:

作者のBobby Hebbの兄は1963年にナッシュビルのクラブの外で刺殺されました(JFK暗殺事件の翌日!)。この曲は直接その事件を歌ったものではないですが、兄の思い出と、そして落ち込む自分の気持ちを励ます為に作ったと語っています。

この曲がただ明るいだけでなく、なんとなく哀愁を感じるメロディや歌詞になっているのも納得ですね。絶望の淵からSunnyのおかげで立ち直って、真実の愛に導かれていく。Sunnyはある意味「神聖な存在」の比喩なのかもしれません。(後述)


ポイント3:Sunny

素敵な女の子の愛称が「Sunny」で、彼女に向けて愛を語っているという解釈が一般的ですね。

Sunny, yesterday my life was filled with rain
Sunny, you smiled at me and really eased the pain
昨日まで僕の人生は土砂降りの雨みたいだった
でも君の笑顔が痛みを癒してくれたよ

Now the dark days are done and the bright days are here
My Sunny one shines so sincere
暗い日々は終わって、晴れやかな日々が訪れた
僕のサニーちゃんはうそ偽りなく輝いているよ

出会いって大事ですね。

eased the pain」は「d」音と「th」音の繋がりをスムースに発音しましょう。
sincere」は「sinsíər」とちょっと発音が難しい単語です。練習しましょう。

ポイント4:愛の告白は続きます

Sunny, thank you for the sunshine bouquet
Sunny, thank you for the love you've brought my way
「sunshine bouquet=日光の花束」っていいですね。

You gave to me your all and all
And now I feel ten feet tall
「feel ten feet tall」は「有頂天になる」ことの表現です。

Sunny, thank you for the truth you let me see
Sunny, thank you for the facts from A to Z
「the facts from A to Z」=「なにからなにまで」全て真実で埋め尽くされた関係って素晴らしいですね。

My life was torn like wind-blown sand
Then a rock was formed when we held hands
「砂(sand)」が「岩(rock)」に変わって揺るがないものになる、と。
ここのパートはなんだか歌詞がメロディに乗りにくいので、気をつけましょう。

bouquet」はフランス語由来なので最後の「t」は発音しません。
your all and all」は意外と発音しにくいフレーズなので、意識して「L」音をスムースに出しましょう。

ポイント5:ゴスペル?

こうやって見ていくと、この歌詞はゴスペルによくある構造に似ている気がします。相手に対する揺るがない信頼と帰依、信じることで救われる存在。言葉を尽くした賛美。この地上に恵みを与えてくれる全知全能の太陽の光

近年のゴスペルは露骨に「J.C.」とか「God」とか歌詞に入れないものが多いですが、そういうものの先駆けなのかもしれません。

ポイント6:どうアレンジするか

古い曲なので、一本調子というか単調になりやすいのでちょっと工夫したいところです。ジャムセッションでもソロ回しをしている最中にダレてしまうこともよくあります。

Jamiroquai
ベースラインも含めて良いアレンジ。ジャムセッションでやるならコレかな。途中で転調していくところも参考になりますね。

構成について

解析、実は結構複雑・・・


ポイント7:様々なバージョンを聴いてみましょう

The Electric Flag (Michael Bloomfield, Nick Gravenites, Buddy Miles, etc.)
最高にファンキーでエモーショナル。


Pat Martino
このアレンジも素晴らしいですね。ギターと並走して動き回るベースラインは誰なんだろう?


Ella Fitzgerald

エラがこういうソウル的な歌い方をすると、やっぱり似合わないなという気がします。時代が時代だから仕方なかったんだと思うけど。


Boney M

もしかすると一番聴かれているバージョンはこれかもしれません。精神性云々の欠片も無いディスコ・アレンジですが、街を明るく彩ってくれましたね。


Wes Montgomery
お金の為なのかイージーリスニング的な演奏に向かっていた時期の録音。素晴らしい演奏ですが。


Les McCann

ちょっとダサめのアレンジ


Metal Cover
かなり無理がある・・・


勝新太郎
あ・・・


こう聴いてくると、どうアレンジしてもいいんだと気が楽になりますね。どんな曲も原曲に留まらず、色々と聴いてみるのをおすすめします。

◼️歌詞


Sunny, yesterday my life was filled with rain
Sunny, you smiled at me and really eased the pain
Now the dark days are done and the bright days are here
My Sunny one shines so sincere
Sunny one so true, I love you

Sunny, thank you for the sunshine bouquet
Sunny, thank you for the love you've brought my way
You gave to me your all and all
And now I feel ten feet tall
Sunny one so true, I love you

Sunny, thank you for the truth you let me see
Sunny, thank you for the facts from A to Z
My life was torn like wind-blown sand
Then a rock was formed when we held hands
Sunny one so true, I love you

Sunny, thank you for that smile upon your face
Mm, Sunny, thank you, thank you
For that gleam that flows with grace
You're my spark of nature's fire
You're my sweet, complete desire
Sunny one so true, yes, I love you

Sunny, yesterday, oh, my life was filled with rain
And Sunny, you smiled at me and really, really eased the pain
Now the dark days are done and the bright days are here
My Sunny one shines so sincere
Sunny one so true

I love you, I love you (Sunny)
I love you (Sunny), said, I love you (Sunny)
Yes, I love you (Sunny)


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