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セッション定番曲その83:Mr. Magic (Through the Smoke) by Grover Washington, Jr. / Amy Winehouse

ファンク/グルーヴ系セッション定番曲化希望。シンプルでまさにグルーヴ命の曲ですが、ちょっと仕掛けがあって、それも気持ちいいです。
(歌詞は最下段に掲載)


ポイント1:Grover Washington, Jr.

セッション界隈では「Just the Two of Us」のヒトとして知られていますが(彼が歌っている、と勘違いしている人もいるようですが、サックス奏者です)他にもいい曲は沢山あります。「(In The) Winelight」「Let it Flow (For 'Dr. J')」やマーヴィン・ゲイの「Inner City Blues」のインスト版など。

ジャズでもファンクでもなく「スムーズジャズ/クワイエット・ストーム」の範疇での活躍だったので、イマイチ尊敬されていないというか尊重されていない印象もあります。文字通り「スムーズ」な気持ちいい音色と演奏なんですけどね。

この曲も踊れるほどファンキーではなく、心地良さを優先したようなアレンジになっていますね。細かくジャンルが分かれる以前のFMラジオで掛かりやすい曲ってこういう感じだったんでようね。

ポイント2:Amy Winehouse

Amy Winehouseの歌入りバージョン(2003年)も人気ですね。
ステディなビートの上で気怠く歌われています。というかバックトラックはサンプリングなんですね。オリジナル・バージョンに雰囲気が似ている訳です。

Amy Winehouseは2000年代に「ジャズボーカルを復活させるんじゃないか」と期待された人でしたが、本人の音楽性はもっと幅広くて、その要素のひとつにジャズがあるという感じでした。破天荒な性格も災いして燃え尽きてしまいましたが。

この歌い方はあまり声量の無い人がファンク曲を歌う時に参考になるんじゃないかと思います。(Amy Winehouseは声量の無い歌手ではありませんが)
歌手はどうしてもガンガン音を出す楽器隊に負けそうになる場合があって、特にドラムやベースが頑張りがちなファンク曲の場合に顕著なのですが、「ちょっとジャズ風味で歌いたいので、歌のバックの時は『ステディだけど抑え気味』にして欲しい。楽器のソロは任せるから」と指示を出して歌うといいかもしれません。声量のピークに合わせてバックの演奏の音量を加減してもらうという感じ。歌う人は遠慮せずに指示を出しましょう、お互いを活かす為です。

ポイント3:Roberta Flack

歌詞も雰囲気も構成も違いますが、Roberta Flack版もあります。Grover Washington, Jr.版と同じ1975年に発表されています。彼女もソウル系(黒い!)というよりは品の良いポップスという感じの歌い方ですね。

ジャズ系の人達はこっちをカバーしているようです。

Carmen McRae


ポイント4:様々なバージョンを聴いてみよう

Bernard Purdie
ファンク・セッションで演奏する時はこれが参考になるかもしれません。抑えた演奏の中でドラムがキッカケを出して、どんどん展開していきます。


Jeff Golub
(2000年発表)
ギター演奏だとなんだかイナタイ感じになりますね。


Peter White
(2006年発表)


Kellee Patterson

歌詞はRoberta Flack版、テンポは速め。


Rodney Whitaker
(2014年発表)
インストかと思いきや歌入り。


TOKYO GROOVE JYOSHI

ラテンパーカッション入り。


Studio Jams #58

ジャムセッションで曲を作り上げていく様子が分かります。


ポイント5:基本構成はシンプル

基本構成はシンプルでセッション向きです。キメのところの感じをみんなでうまく共有しましょう。テンポをぐっと落として重くやるのもいいですし、少しテンポを上げてファンキーにやるのもアリ。もっと定番化して欲しい曲のひとつです。

(ネットから転載、パブリックドメインで無かったらごめんなさい)


ポイント6:歌詞と発音のポイント(Amy Winehouse版)

And you always give me stress free point of view
 「xxxx free」というのは「xxxx が無い」という意味。
「point of view」は「見方、視点」。
見ているだけで嬉しくなる相手のことを「eye candy=目にご馳走」と言ったりしますが、そういう感じでしょうか。
「point of」の「t」音は強調せずに流れの中で溶けてしまう感じで発音するといいと思います。

Take a token Of my love
「token of love」は「愛の証(あかし)」
「token」の発音は「tóukn」と「e」は発音せずに子音が続くのが一般的です。

Without you, I'm misery, Blue without my green
「misery=blue(憂鬱、悲しみ)」というのは分かりますが、
「without my green」というのは一体なんなのでしょうか?
green」は「自然が豊か」とか「未熟」「嫉妬」とかいう意味が一般的ですが、「green card」だと「米国の永住権証明書」、「green buck」だと「お金(米ドル紙幣)」、「green (leaf)」だと暗に「weed(マリファナ)」を表すことがあるようです。ここではどれでしょうか。

I see you through the smoke
この「smoke」って何の煙なのかな・・・と考えると上記の最後の解釈もアリかもしれないですね。
「smoke」の発音も意外と難しくて↓

これも最後の「e」は発音しません。英語ってこういう不規則さがあるから厄介ですね。考え始めると混乱してしまうので、しれっと覚えるしかないですね。


◾️歌詞

Amy Winehouse版

Every day, I see you
My hands were made for you
And you always give me stress free point of view
Pick you up after school

(Mister Magic) Take a token
(Mister Magic) Of my love
(Mister Magic) I see you through the smoke

Without you, I'm misery
Blue without my green
All the songs sound better when you're next to me
Yeah, 'cause you come naturally

(Mister Magic) Take a token
(Mister Magic) Of my love, love, love
(Mister Magic) I see you through the smoke

Laying on my bed
I reach over for you
And you so fresh, you even make the standards new
Burn the tip to get you through

(Mister Magic) Take a token
(Mister Magic) Of my love
(Mister Magic) Mister Magic
I see you through the smoke

(Mister Magic)
(Mister Magic)
(Mister Magic)
Waiting for the smoke to clear
I'm waiting for the smoke to clear

========================
Roberta Flack版

He looked at me one day, chased my blues away
Chased my blues away with his sweet smile
I never dreamed I'd need a man so bad
There was something in his style

Mr. Magic (Mr. Magic, Mr. Magic), where have you gone?
Mr. Magic, you turned me on

He put his hands on me and kissed me tenderly
Kissed me tenderly and held me tight
I'd give up anything that I possess
Just to have him here tonight

Mr. Magic (Mr. Magic, Mr. Magic), where have you gone?
Mr. Magic, ooh, you turned me on

I threw away my pride, I sat down and cried
Sat down and cried over you
'Cause just like magic powder, you took one
Now I don't know what to do

Mr. Magic (Mr. Magic, Mr. Magic), where have you gone?
Mr. Magic, ooh ooh, you turned me on

Mr. Magic (Magic, Magic, Magic)
Mr. Magic (Magic, Magic, Magic)
Mr. Magic (Magic, Magic, Magic)
Mr. Magic (Magic, Magic, Magic)
Mr. Magic, ooh
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah



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