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世紀末生まれがプリントゴッコを使用してみた

こんにちは、突然ですが『プリントゴッコ』はご存知でしょうか?

木じよう

(可愛いワンちゃんが印刷していますこのCMは戌年の時の作品)

そう、あの国民行事『年賀状』を印刷する際に全国の家庭で使用された、家庭用孔版印刷機です!

※(孔版とは小さい穴を開けてそのにインクを通す事によって印刷する事、いわゆるシルクスクリーン)

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(参考例、シルクスクリーンの代表的作家アンディ・ウォーホルの作品『RED LIs』)

版画には、凹版(銅版画)、凸版(木版画)、平版(リトグラフ)そして孔版がありますが、それぞれ説明したら長くなるので、簡単に記しておきます。

プリントゴッコとは、理想科学とは?

まず、多くの人がこのプリンターの個性的なネーミング、そして『理想科学』というなんだか怪しい会社名が気になるかと思います。

そもそも、プリントゴッコは1946年に謄写版印刷業として創業し、印刷機器と消耗品の開発・製造・販売を行う理想科学工業によって、業務用プリンターの開発中に生まれた子供向け知育玩具として1977年に発売されました。そして、発売された当時9800円という高価な値段だったのに関わらず87年には年に72万台も売り上げるほど家庭に浸透していきました。

※ちなみに『理想』と社名につけたのは戦後の日本がより良い方向にゆくように常に理想を忘れずにいこうという意味が込められています。素晴らしい!(怪しいって言ってごめんなさい…)

それまでの年賀状作成に使えるものとしては、『芋版』と呼ばれるサツマイモやジャガイモを半分に切って彫刻刀で彫ったスタンプや(サザエさんにも登場しました)市販のスタンプぐらいしかありませんでした。

それが、プリントゴッコの登場により美しく凝った作品が一般市民の間で制作できるようになりました。

参考記事URL

ですが、アートに親しんでいる人たちは年賀状作成だけでなく自主出版や、版画の技法の道具としても利用しました。

参考にプリントゴッコでポストカードを制作していた100% Orange というイラストレータユニットを紹介します。

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このように手書きで温かみのある線とビビッドな色彩はプリントゴッコで遊んだ(創作した)からこそ発想できる代物であると考えています。

では、開封しましょう!

長ったらしい説明はここまで!では今回購入したプリントゴッコを紹介します。

購入したのは『プリントゴッコPG−10SUPER』

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購入場所はいつもの『メ◯カリ』2100円(送料込み)

多分、出品者にほぼ儲けはないと思います。おそらく断捨離目的で送料分だけで出品したのかと。ちなみに、相場は着払いも含めたら1500円〜8000円程。高くても定価の半額なので道具を揃えるハードルは引くかと。道具を揃える点ではね!!!

実は付属品の方がプレミアがついているので制作するたびに金が飛んでいきます。

一番高いのは『製版用ランプ』これは元の定価が10個入りで1080円ほどですが今は8個入りでも1600円とプレミアがつきまくっています。

なぜなら製版ランプは使い捨てで一つの版を作るたびに2個デフォルトで消費するためすぐなくなります。

まるで、コカインや大麻のようです…

ちなみに二番目に高価なのが『ハイメッシュマスター』という版を写す板(?)です。大抵、ランプとデットで2000円〜5000円で販売。

インクは使いかけ10個以上入りで1000円以下でも、大抵の本体とセットで販売されています。

では、本体を見ていきましょう。

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箱を開けてすぐの状態、この時点で驚くべき点は『05フォーマル年賀状』というイラスト集の表紙、プリントゴッコの生産終了が発表されたのが2008年ですから、その3年前は末期だったはずですが…まさか05年も年賀状を作っていたとは。

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イラスト集をどかした状態。整理整頓されています。

えっ、嘘だろ…

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この人2012年もプリントゴッコで年賀状作っていたのかー!

もしかしたら皆さんの家にもプリントゴッコで作られた年賀状が令和になった今も残っているかもしれませんし、届く課もしれません。

イラスト集を見ていきます。98年、95年、99年のイラスト集が入っていました。戌年が見ていて面白かったです。ハスキー犬の図案があったり、

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キース・ヘリングもどきの図案があったりと笑わせてくれます。

図案集は使わないので後日、イラスト集をめくってツッコミを入れる記事を書いてから捨てます。

制作しよう!

では実際に製作していきます。

製版に使える筆記具は以下の通り

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(先生VIDEOより)

いちおう、RISOペンが一本(0.3)がついてきましたが、今回は鉛筆(2B)でチャレンジしていきます。

こうしてみると、選択肢が意外と少ないんだよなぁ〜

ちなみにコピーした原稿も使えますが、カーボンブラックが入っている事、フィルター青を使用する事、そして薄くコピーする事と条件がかなり厳しいので、手書き一本でやっていきます。

原稿は、先ほどプリンターに挟まった原稿を使ってサイズを測り紙を切って作りました。二版なので、ライトテーブルを使って色を分けました。

ここで、注意!原稿に使えるのは反射しない白い紙だけです!つまり、カレンダーの裏紙、トレペは使えません!

製版〜♪

製版していきます。

まず、製版する際にはランプに電気を送ることが必要なので単3電池2個をカバーを開けてセッティングします。もし、その際先客電池がいましたら外して捨ててください。

そしてランプハウスにランプをセット

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(ああ〜もったいない〜)

原稿をプリンターの印刷台の上に載せて

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いざ、製版!

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(ビカッ!)

…一応光ったよね、製版できているよね…

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製版後のランプは焦げていてヒビが入っていました、これは使い捨てだわ…

そして同じく二版目も製版。

インク載せ(力仕事)

では、製版した版の上に絵具を乗せていきましょう。

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まず隣り合う箇所にインクブロッキング(灰色の細長いスポンジ)を貼っていきます。ブロッキングはコスパ良く製作したい人必須アイテム!

インク混ざりを防いでくれます。

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インクを載せていきます。これが重労働でした。なぜならインクが少し硬くて手でしっかり潰さないと出てこないからです。手が痛くなる…

これは経年劣化ではなく、シルクスクリーンやリトグラフのインクはめちゃめちゃ硬いのが特徴です。温めておけば良かったかなぁ〜

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線画の版にもインク載せ。

結構使用しますので、インクばかりが残るという事はないかも。(一本のチューブにつき3回作品が作れると予想)

まあ、10枚ぐらい印刷からこのぐらいあれば丁度いいかと。

印刷

印刷していきます。緊張のポイント

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汚い手が写ってごめんなさいね。

まずは第一版から。

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おおーそこそこいい感じ!

サムくん(黄色いの)のボディの色が綺麗に出ている、これはガイも何か色ぬっとけば良かったかなぁ。

二版目(線画)も印刷。

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おおー予想以上の出来。

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だけど、鉛筆のせいか線が薄れている(サムの口元)、消えかかっているのもありやはりRISOペンが一番向いているのかと痛感させられました。

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カードラックで乾燥させます。やはりカードラックも必須。

ゴミ出し

今回一番困ったのはランプの処理と、版の処理。

ランプに関しては先生ビデオで『燃えないゴミに出してください』と言っていたけど今の基準だとどうなんだろう?

そして版はやはり使い捨てだろうか?そこも説明書に記載していないので気になる。まあ、大体の人が使ったら捨てるだろうけど。

最後に

今回、プリントゴッコが意外と楽しい!と思いました。

木版やゴム版より楽で、綺麗で味のある仕上がりになるのが楽しかったです。

こりゃまた、ランプやメッシュを使い購入する日も近いぞ…

次は、RISOペン一本縛りで一版刷り縛りでやってみようかな?


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