【医師国家試験】勝手に予想問題、子宮体部の腫瘍

問:58歳、未径妊、閉経51歳。内科健診で骨盤内腫瘤を指摘されて来院した。健診では上下部内視鏡検査、胸部X線検査、マンモグラフィ、子宮頸部細胞診、腹部超音波断層法、血液検査を行われ、他に異常は指摘されなかった。経腟超音波断層法で、子宮体部前壁筋層内に辺縁平滑な5cm大の均一な低エコー像を認めた。子宮内膜は後方に偏位しており、所見不良であった。血液検査でCEAが7.2と軽度高値、CA-125は12と正常であり、その他に異常所見はなかった。
この患者に対する説明で、正しいのはどれか?
a. GnRHアンタゴニストが有効です。
b. 子宮の悪性腫瘍の可能性が低いです。
c. 精密検査としてMRIを撮影します。
d. もう一度子宮頸部細胞診をしましょう。
e. 正確な診断のために子宮筋腫核出術をしましょう。


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解説

この文章から読み取ることができる症例の情報は、
・閉経後の未経産婦
・症状なし
・子宮体部筋層内に5cm大の腫瘍、低エコー、辺縁平滑
・腫瘍マーカー軽度高値
という、非常に微妙な状態を作成してみました。

婦人科の腫瘍については、117回の外陰癌の術式の問題で神話が壊れてしまいましたが、旧来3部位x2種を学習すれば十分だ、とされてきました。
解剖学的分類:子宮体部、子宮頸部、卵巣
種類:良性、悪性
の6個です。
しかし、子宮頸部の良性腫瘍が問われることは
まずありませんし、卵巣についてはその組織型や臨床分類によって判断が分かれるというところがミソになります。これは国家試験でも臨床でも同じことです。

では、この症例はどれに当てはまるでしょうか?
部位は子宮体部です。文章に書いています。
では、悪性でしょうか?良性でしょうか?
実際にどのように見分けていると思いますか?
ということで、子宮体部の腫瘍についてお話しします。

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産婦人科領域の国家試験対策をしています。 近年の臨床の肌感が問われるような問題に対応しています。 解説希望があればコメントしてください。

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