昼食として、いい加減な弁当を詰める日が週に数日ある。寒い季節はその適当弁当にフリーズドライの味噌汁を添える。フリーズドライ味噌汁、最近は唸るぐらい美味なものが多く、中でもアマノフーズが頭ひとつ抜きん出ている感じ。わたしはよく職場近くのドラッグストアでまとめ買いをする。具の中では断然「なす」が好きである。揚げた香ばしいなすがゴロゴロ入っている、こんな手間のかかるもの、家ではまず作らない（加えて夫はなすが嫌い）。昨年の冬にコンビニで買って以来、インスタント味噌汁を買うときはまず「なす」を選ぶ。にも拘わらず、いつも味噌汁を複数買うときはなぜか「とうふ」や「野菜」も一緒にレジに持って行ってしまう。昨日初めてそのおかしさに気づいた。

全部、「なす」でええやん。

わたしは何のバランスを取ってたんだろうか。誰に何を言われたわけでもない、週に４日ある弁当の日全部に好物の「なす」の味噌汁を飲めばいいのに。飽きるまで毎週。デスクの引き出しに「とうふ」や「野菜」ばかりが残ると明らかにちょっと気分が落ちるのに。なぜ全部好きなもので埋め尽くさなかったんだろう。栄養バランス？そんなの、「なす」とそれ以外でそこまで大きく違うとも思えないし。そもそも冷凍食品を多用した適当弁当を持参している時点で栄養バランスなど考えていないわけだから、無視したって良いだろう。わたしはなすの味噌汁ばかり５個をカゴに入れた。しょうもないことだけど、自分の向かう先の視界がパッとクリアになるような気がした。

レジの人は「なす好きなんやなぁ」と苦笑するんだろうか。「わたしも好き！わかる〜」と共感してくれるんだろうか。あるいは「これそんな美味しいの？食べてみようかな」とチャレンジ心をくすぐるんだろうか。なんにせよこれは日常の中の決意表明。好きなものを好きだと胸を張る練習。次は「ブラックサンダー」だけを10個レジに持って行こうと思う。

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