見出し画像

Ep.1: Invisible in visible | コラボレーションビールについて

Ep.1: Invisible in visible | コラボレーションビールについて

「何をするか」も大事かもしれないが、僕は「誰とするか」に重きを置いている。「何か」のクオリティや充足感は「誰か」によって規定される。そんなことを頭の片隅におきながら、働いている。

2022年4月、クラフトビールのパイオニアであるCOEDO BEERさんとコラボレーションビールをリリースした。このビールはサイボクのポークウインナーのために生まれた世界に一つしかないビールだ。

「ウインナー・ソーセージ」という大きなカテゴリーに既存のビールをあてがう「面のペアリング」が従来のスタイルだとすれば、今回は「サイボクのポークウインナー」という固有の商品に対して、オリジナルのビールを当てた「点のペアリング」だ。

直感的に浮かんだイメージは「無限ループ」。これはあくまで比喩で「ウインナーを食べ、ビールを飲む」という一連の行為が飽きることなく続き、それぞれの良さを高め合う。そんな幸福な関係を結ぶイメージ。

伝統的なドイツの製法を取り入れつつ、日本人の口にあうように引き算を施した和のウインナーがサイボクのコンセプト。このウインナーに合うビールとは一体なんだろうか。

様々なビールを試す中で、ホップの苦味や清涼感、そして柑橘の ニ ュ アンスがポークウインナーのお肉の味わいと脂の甘みを補い、旨味の余韻をいい意味で下支えする印象を持った。おそらくそれらはウインナーに対するスパイスやハーブの代用となるだろう。

また動物性タンパク質と脂質で構成されたウインナーが持つ食べ応えに対して、ビールに軽やかさやキレが必要なはず。つまりビールのスタイルはIPA、これがわたしの仮説だった。

これは従来考えられるドイツ のクラシカルで力強いペアリングとは大きく異なっている。しかしセオリーからではなく「サイボクのウインナー」の実食と飲み合わせから導き出した。

一瞬、苦味が優位であるように感じた後に、ポークウインナーの脂の甘みが混ざって苦味がスパイスとハーブに化ける。その後、ビールの柑橘のニュアンスやトロピカルなフルーツたちがお肉の旨味に合流し、口内調和を醸すのだ。

すべてはCOEDO BEERさんの献身的なスタッフの方々や、初めてパーマネントなコラボレーションビールの存在を許容してくれた代表の朝霧さんのお陰でこうしたビールが完成した。

「食べる喜び、飲む喜び」をクラフトマンシップに溢れたCOEDO BEERさんと共にご提案できることが嬉しい。やはりわたしは「何をするか」も大切だけれど「誰とするか」を大事にしたいと思う。

それはいつも結果ではなくプロセスが教えてくれる。

乾杯。

K

わたしを見つけてくれて有難うございます。