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ブログ企画【繋】第74回「データが消えたらどうする?」

毎月1日に全国各地のメンバーがひとつのテーマで文章を書くブログ企画【繋】。
今回は、内田さんからこちらのテーマをいただきました。

『10月のお題は、「データが消えたらどうする?」でお願いしたいと思います。
9月はスマホ、携帯の写真のことでした。10月は皆さんがお使いのパソコン、スマホ、外付けHDDなどバックアップを含めたデータが消えてしまったらどうするかをお聞きしたいです。
実は最近、僕の外付けHDDが壊れてしまい、大切に保存していた写真や動画が見られなくなってしまいました。デジタル社会の世の中だと、こういうことは有りがちだと思います。
クラウド等にバックアップしてあるから安心!という方はそのことを書いて頂けるととても参考になります』
テーマ発案者:内田祥文さんより


というテーマで本題に入る前に、ここから先の内容に関して先に申し上げておきたいことがあります。この記事には、データが消えてしまったときに講じるべき具体的措置や、それを未然に防ぐためのクラウドなどへのバックアップに関するハウツーなど、そういったライフハック的なことは一切書かれておりません。

そのため、それらの情報をお求めの方は、ここではない別の有益なサイトやカスタマーセンターへのお問い合わせをおすすめいたします。
(あ、でも他にもいろいろ記事はあるから覗いていってくださったら嬉しいな)

はい、それではこの文を読んでくださっている方々、まいりましょう。

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まずですね、上にある内田さんからのテーマの説明文を読んだとき、最初に抱いたのが「データが消えてしまったときどうするか」に対する感想ではなく、「なんか、文章のかんじがYahoo!知恵袋っぽい」ということでした。わかる?いまいちピンとこない?それかわたしが知恵袋に入り浸りすぎているだけ?

それで、知恵袋というのはこういった質問にどこぞのだれかが真摯に答えてくれたりくれなかったりする場所であり、その回答に対して質問者はお礼のコインを贈ったりベストアンサーを選んだりするじゃないですか。

で、おそらく内田さんのこのテーマに対する《ベストアンサー》というのは、文字通り「データが消えてしまったら自分はこうする」ということを書く、もしくはかつて自身も同じような経験があった場合なんかは、そのときのことを振り返りながら書いたりするのがベターだと思うんですよ。あとは、データが消えてしまわないようにしておく対策を書いたりとかね。

でもさ、これは知恵袋の至極個人的な楽しみ方であるのかもしれないのですが、同袋を質問者ではなく閲覧者として訪れるときって、まず初めに手堅いベストアンサーを読んで疑問や質問をあらかた解決し、いくらかの安心と確信を得たうえで、その下に続く何件かの回答を読み進めていくのがなかなか楽しかったりしませんか。

その下って言ったって、ベストアンサー落ちした回答や的外れな意見、もしくは時間が経ってから回答されたベストアンサーの二番煎じのような答えが並ぶだけじゃないかって思います?

いやいや、だれかにとっての正解は、だれにとっての正解であるとも限らないのです。
だれかは読み流してしまった回答も、まただれかにとってはベストアンサーになり得ることもあるでしょう。
さらには、複数の回答を得ることで、その疑問や質問がより立体性を帯びながら多面的に解決に向かうようにも思うのです。

さて一方、この企画での自身の立ち位置としまして、私は与えられたテーマに真正面から切り込んでベターをなぞっていくのではなく、思いがけない角度から切り崩していくスタイルであることを自覚しておりまして。

ということでね、前置きが長くなりましたが、今回の内田さんからのテーマに対してわたしは「知恵袋でいうところの、ベストアンサーの4コ下にあるような回答」を目指して書き進めていきたいと思います。

Illustration by 利便性


突然何を言い出すのかと思うだろうが、ハワイは毎年6〜8センチずつ日本に近づいているという。

ハワイ諸島が乗っかる太平洋プレートが少しずつ北西に移動しているからだそうで、日本からおよそ6600キロの距離に位置するハワイは、約8000万年後には日本にくっつく計算になるのだそうだ(1年あたり8センチとして算出)。


お題主(知恵袋的にいうと質問者)の言葉の中で、わたしは「僕の外付けHDD」という言葉がなぜだか気に入った。無論、特筆すべきはそこではないのはわかっている。しかし、気に入ってしまったものは仕方あるまい。

「僕の外付けHDD」には、もちろん「僕」がこれまでに保存してきた写真や動画や書類なんかがつまっているのだろう。整理が面倒になって、自分でも把握しきれていないデータも多々あるだろうか。

だが、「僕の外付けHDD」の中身を保存するための「僕の外付けHDDの外付けHDD」の存在はあまり語られることがない。それもそのはず、一度これをやり始めてしまうと「僕の外付けHDDの外付けHDDの外付けHDDの外付けHDDの……」となり、それはまるで円周率のようにきりがなくなってしまうからだろう。

ではここで、ベストアンサーの4コ下のこの回答にまで目を通してくれている物好きなあなたに、こっそり耳打ちをしよう。


この世界のバックアップは、
誰がとっているの?


そもそも「バックアップ」とは何か。
ちょっと調べると、

システム異常や装置の故障などによるデータの破損に備えて、ディスクの内容を複製し、別の記憶装置やメディアに保存すること。

などと出てくる。

ということは、「この世界のバックアップ」とは、何か緊急事態が発生し日本や世界や人類が更地にかえってしまったとき、再び現在の状態にまるまる戻すことを可能とするためのXとなる。

その日の出来事を報道する「メディア」なんかがそれに近いのだろうか。それとも、テレビや新聞といった媒体の「アーカイブ」がそうなのだろうか。もしそうだとして、その「バックアップ」は正確に行われているのだろうか。

しかしメディアというものの性質上、作り手による何らかの意図や解釈が介在しないはずがないと考えれば、記録すべき(取り上げるべき)出来事の選定も異なってくるだろうから、どうやらバックアップにはなり得なさそうだ。

では、もっと視点をマクロにして「歴史」はこの世界のバックアップなのだろうか。日本史でも世界史でも人類史でも、その歩みを記したものであるはずだから、これらは正確性に欠いていたら大変だ。

しかし、こちらも解釈の仕方や研究者によって諸説が存在したり、また国や文化によってもその主張が異なることからも見てとれるように、バックアップとして名乗りをあげるには画素が荒すぎるかもしれない。


この世界の「外付けHDD」はどこにいったいあるんだ。

いや、そもそも、この惑星はバックアップ方式を採用していないのかもしれない。そう、すべてが上書き保存。

長い鉄の塊を時速300キロで走らせたり、スイッチひとつで光を確保したり、小さな薄っぺらい金属の箱で写真を撮ったり、メッセージや肉声を遠く離れた場所にいる人間に瞬間的に送るなんてことは朝飯前にやってのけるのに、Ctrl+Zで世界をひとつ前に戻すことすらできないらしい。うちの星まで探査機飛ばして喜んでる暇があったら、まずはそっちをなんとかしたらどうなんだ?

しかしそれならば、ハワイが毎年数センチずつ日本に近づいているのにも納得がいく。どうやらこの惑星は、毎日誰にも気づかれないくらいの僅かな何かが、今この瞬間も絶えずその形を変え続けているようだ。

バックアップなど存在しない、今ここにある目の前の世界だけが唯一無二である脆く儚いこの惑星のことだから、きっとこの記事もいつか形を変えてしまうのだろう。
ここにたどり着く訪問者もとい、この内容に対する評価そのものが変わっているかもしれない。
そしたら、意外にもいつかこの回答がベストアンサーになっているかもしれないし、なっていないかもしれない。


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とかってことを、わたしはデータが消えたらなら、真っ白(もしくは真っ黒)な画面を前に考えると思います。

そのほかの方々の回答は、以下からご覧ください。


ブログ企画【繋】メンバー

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