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ねこ吸い~ねこの日ショートショート

最近流行りの『ねこ吸い』を堪能すべく、売り出し中の和ねこカフェに来た。
 
「いらっしゃいませ。どちらでお出しにしましょう?」
割烹着の店員さんが畳席にお品書きを広げてくれる。基本の柄だけで20種類以上、どれも美味しそうだ。
「うーん。白、黒、茶トラ……やっぱり三毛で」
「三毛一杯ですね。ただ今ひいて参りますので、少々お待ちください」
流行っているだけあって、店内はねこ吸いを楽しむお客で満員だ。
「にゃ~ん」
「ふにゅ~」
「ぐるるる……」
客達のとろけそうな声に期待を膨らませて待つ。やがて可愛い三毛柄のお椀が運ばれてきた。
「ご注文の三毛ねこ吸いでございます」
おもむろに椀蓋を取り、しっぽの形の湯気と昆布の香りを存分に吸い込む。
こだわりの国産ねこんぶを使ったお吸い物、ねこ吸い。産地ごとの特色を猫の毛色になぞらえ、単品あるいはブレンドで味わう和ドリンクだ。
――いざ、実食。
 
「うみゃ~」