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部下の残業時間を減らす方法

 働き方改革が広がり、だいぶ経ちます。一言に「働き方改革」といっても、その中でやるべきことは沢山あるのですが、皆さんの中で一番印象的なのは”残業時間の抑制”ではないでしょうか。中間管理職、特に課長レベルはこれに苦戦します。本日はそのような内容です。

 そもそも残業とは悪いことではありません。会社が発展していくには前のめりな姿勢が不可欠で、それには予め定められた時間以上に働くのは仕方ないことです。問題は、そんな仕事を多く働きたくない人にやらせることです。8時間しか働きたくなくて、それ前提の生活リズムを作っている人に10時間、12時間と働かせるのはNGです。ですが、残業してでもお金を稼ぎたい人や、仕事が趣味になっているような人には、健康を損なわないという条件の中でなら幾らでも働いてもらって良い筈です。

 しかし、国はそんな諸事情を認めません。理由はシンプルで、民間のことなんて知らないし、知る気もないからです。なので画一的にNGと定義します。ですが、これに意を唱えても仕方ないです。日本で働く限り、そんな縛りの中でやりくりするしかないと悟った方が良いです。

 残業時間を抑える為に会社は何をするか。それは残業をしがちな担当者(非組織職)の残業時間を強制的に抑制します。その方法は何かというと、担当者(非組織職)の監督役である課長に丸投げです。組織職の末端という一番立場の弱い人間に「どうにかしろ」とだけ言って、残業時間を抑制します。

 ここで大事なのが、課長という立場が組織で一番立場が弱いということです。担当者よりも課長の方が立場が弱いのです。会社は担当者のクリエイティビティによって生き続けます。それを組織職がうまくコントロールして、アウトプットを最大限に引き伸ばします。この為、社内において担当者の価値は実はとても高いのです。組織職も勿論一定の価値はあり、上に行けば行くほど価値が高まりますが、組織職の中でも最底辺の課長は、組織職としての価値も低く、担当者的なクリエイティビティも無い立場なので、社内で一番立場が弱い人達なのです。そんな人に「担当者の残業時間をどうにかしろ」と部長達は言います。

 そんなことを言われた課長はどうしましょうか。自分もほんの少し前まで担当者だったから、残業の大切さは組織職の中では誰よりも分かっているのです。ですが、上司に逆らう訳にはいかない。そもそも業務が回らなくなったら責任を取らされるし、部下である担当者に不満を持たれたら今のご時世どんな手段で報復されるかわからない。そこで行き着くのがこの答えです。

「皆さんがやりきれない仕事は私がやるので、引き継いでください」

 本来部下がやるべき仕事を自分がやろうとするのです。担当者は業務のプロフェッショナルですから、そのレベルのアウトプットは出せないのですが、それを理解していているか否かおいておいて、全て自分で背負います。そして、労務管理されない環境で深夜まで働き続けます。以前、この様なツイートをしました。

 残業時間を減らさないといけないなら、その諸悪の根源を潰しましょう。それには時間が必要かと思いますので、その間は部下達に残業を頑張ってもらうのです。部下達が時間稼ぎをしている間、残業の根本的な課題を解決すれば、それ以降は残業時間を大幅に減らせます。また、解決策を他の組織にシェアすれば、様々な組織で同様の課題を解決できるので、全社的に残業時間を削減できます。こういった組織横断の知識共有こそ、組織職の本領発揮なのではないでしょうか。

 仕事があるから残業があるのです。大元の仕事が減らなければ残業は無くなりません。大元の仕事を減らすことにこそ、努力するべきだと思います。

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