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《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.53

課題6:令和の静岡県につけるキャッチコピー
・通り道から、目的地に。

ひどい台風があったものだ。巨大で風が強い。しかも、2週続けて沖縄から九州地方の、同じルートを通り過ぎていくのだ。遥か離れた静岡県でも、時折、50m先が煙って見えないほどの雨が降る。圏外でこの状況なのだ。直撃を受けた地区のみなさんの状況は想像することしかできないが、大事のないことを祈りつつ、お見舞いを申し上げます。(昼のニュースでは九州の椎葉村の被災が映し出されていた。知人が椎葉村にいるので落ち着きません、、。)

令和への願いも叶わずの2年目。そこで、この課題を改めて確認したい。

令和という元号にもすっかり慣れてきましたが、やはり時代の節目は新しいことを発信するチャンス。令和元年の今だからこそ、新しい静岡県を考えていただきたいと思います。これからの時代にふさわしい、静岡県のキャッチコピーを募集します。
出典:SCCしずおかコピー大賞HPより

キーワードは「これからの時代にふさわしい」ですかね。

応募した作者それぞれが考える未来の静岡県が描かれることを期待しつつ、この作品を読む。

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コロナ禍で現実味が出てきた、静岡県は通過される県だということ。

高速移動の定番、新幹線。中でもビジネスにおいて大都市間を行き来するのに使われる「のぞみ」は、静岡県に止まりません(よくも悪くも、リニアも止まらない予定)。その理由もあってか、東京の約1/5、名古屋の1/3未満の21000人程度の乗車人員で、東京〜名古屋間では9位に留まっています。

JR東海 財務・輸送の状況「乗車人員ベスト10駅」
https://company.jr-central.co.jp/company/achievement/financeandtransportation/transportation5.html

そう。東京で乗った人も、名古屋で乗った人も、静岡で降りないのだ。その証拠の一つにもなりそうなのが、新型コロナウイルス感染症の患者数。東京、神奈川、名古屋と比べても桁違いに少ない。もちろん、感染を防ぐ努力の表れでもありますが、それ以上に公共交通機関による感染者の流入を原因とする接触が少ないことを想像させてくれる。

本コピーが書かれてから約1年。『通り道から、目的地に。』は、地元の人がなんとなくわかっていた事実を言語化したコピーといえるだろう。そして、禍によって、よりリアルな状況を示すに至ったと思う。

確かに、現状は言い表している。秀逸なコピーには、現状を普遍的なコトバで伝え、肚に落とすものもある。だが、このコピーには普遍性はなく、現状を伝えるむき出しのコンセプトのままだ。人や物を動かすためには、問題解決となる次の発想をコピーの肝として扱わなければならないと思う。作者は、スローガンとして目的地化を唱えた。でも、反省だけなら猿でもできるよろしく、言うは易しである。

課題が求めているのは、コトバを投げかけることで受け手である静岡県民の気分を盛り上げながら、静岡県内の場所や名物といったコンテンツの目的地化を促進するアイデア、または県外の人が静岡県に訪れたくなるアイデアなのだ。つまり、スローガンよりキャッチフレーズなのだ。ファイナル止まりだったのも、求められている肝心なアイデアがなかったからだと読める。

作者にアドバイスを贈るとするなら、「どう言うか(How to say)」に変換することを検討してほしい。去年は「何を言うか(What to say)」までは撃ち抜けた。今年は、受け手のインサイトを意識して「どう言うか」を完成させることができれば、入賞を狙えるかも?! しれませんね。ぜひ、がんばってみてください。


第11回SCCしずおかコピー大賞、スタートしました。静岡県内在住、在職、在学の方なら誰でもご応募できます! 奮ってのご参加をお待ちしています!

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※コピーの版権・著作権等の使用に関する権利は、静岡コピーライターズクラブに帰属します。
https://shizuokacc.com/award/

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