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姫野桂『高学歴発達障害』を読みました

 発売早々、気になって姫野桂『高学歴発達障害』を読み、ものすごく切ない気持ちになった。多少とも自分と似た感じがある人たちが、世界でも極めてきっちりした現代日本で揉まれ、あるときにはダメ人間とまで言われ、けれども自分の扱い方を見つけてなんとか生き延びようとするドキュメンタリーとなっているからだ。
 言われたことをそのままに受け取り特に冗談を真に受け、予定した段取りが変わるとパニックを起こし、衝動に駆られて、おかしいことはおかしいと言う。純粋で素直と言えば聞こえはいいが、今の社会ではこうした人は、空気の読めない面倒くさい人として、時に排除の対象となってしまう。
 ここで登場するのが、ニューロ・ダイバーシティという考え方だ。定型発達の人も発達障害の人も価値は同じ。ただ、脳の機能の仕方が違うだけ、と考えるだけでだいぶ楽になるだろう。
 その上で、過集中をタイマーで防いだり、あるいは予定を忘れがちな癖には、すぐに日程表を見られる状況を作ったりと、それぞれみんな工夫している。さらには、自助グループと認知行動療法の併用で、だいぶ定型発達の人々との関係がよくなる、というのも発見だった。
 誰もが一通りのことをできて当り前、という世の中が少しでも変わればいいのに、と強く思ってしまった。

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