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iPhoneの衛星通信対応とコンステレーション

Appleファンには毎年待望となる、iPhone新機種が発表されました。

個人的に今回目を引いたのは、緊急時の「衛星通信」対応です。知る限り、これがタイトルにまで含まれて報道されるのも初かもしれません。
ある意味時代を感じさせます。

まずはアメリカ・カナダからのサービス提供で、具体的にどこの衛星を使うのかまでは明かしていません。

以前にふれたとおり、今DARPA(国防総省のR&D機関)がアメリカ衛星通信キャリア間の相互乗り入れ計画を進行中です。

今回のiPhoneは緊急時という但し書き付きですが、上記が実用化したらこのネットワークも利用する可能性もあります。

せっかくですので、人工衛星がどれくらい打ち上げられているのかを調べてみたいと思います。

下記の経産省サイトがよくまとまっていました。

出所:上記METIサイト
出所:上記METIサイト

予想はしてましたがやはりアメリカが圧倒的ですね。

しかも、下記サイトによるとスペースXが打ち上げたStarlinkが2022/8末時点で3208機、アメリカ内で過半数、世界全体でも4分の1を占めています。

圧巻・・・。しかも、将来計画では4.2万機を打ち上げる予定です。

スペースXが圧倒的なのは、分かりやすい理由は、自社製ロケット(ファルコン)を持っているからです。
ほかにも、あまり情報は公開されてませんが、そのデザインと製造能力も高いと推察されます。
デザインとは、単に自社製ロケットとの相性だけでなく、従来と異なるフラットパネル型を採用し、これによって相対的に超小型を実現しています。つまり一回に詰める数が多くなることを意味しています。

生産については、ロケットもそうですが、同じくマスク氏が手掛けているEVテスラでの工場生産(スマート化でも有名)とも相互に影響を与えている可能性もあります。

そして、つい先日、通信キャリアT-Mobileが、圏外時にスペースXが提供しているStarlikに接続可能となるサービスの発表を行いました。

ただし、技術的な難易度と、人命救助への言及があります。
というのもStarlink単体では、地上に専用基地局を置く必要がります。
今回は、T-Mobileという他キャリアからの電波を衛星が捕捉するため、自社単体よりは難しくなります。

ちなみに、日本国内でも、KDDIが同じような提携を2021年に行っています。

下記に、Starlinkサービスの説明が分かりやすく乗っていたので引用しておきます。

これによると、米国内の場合、専用アンテナ価格は599ドル(送料・税別)。通信サービスの月額料金として、別途110ドル(税別、日本円で約14,210円)で、やはり地上サービスよりは高値なイメージです。

ちなみに、Starlink含めて今人工衛星通信が盛んなのは、地球低軌道で大量の超小型衛星間の自律的な通信が可能になったことにあります。

よくこの仕組みは「コンステレーション」と呼ばれます。(大体話すときはコンステと略されます)
下記サイトでその歴史を端的に書いています。

ざっくり要点を書くと、元々地上2、3万kmにある静止衛星で20世紀より行ってきましたが、位置捕捉(GPSなど)や科学技術向けでした。
21世紀になって携帯電話が普及すると、もう少し低軌道な1000km付近での電話/データ通信用の衛星事業が通信事業会社が立ち上げたのですが、軒並み事業破綻してしまいます。

その後に衛星事業をメインに立ち上がったのがSpaceXをはじめとする新たな事業で今に至ります。よりコスパが高まった技術革新も大きいと思いますが、電波規制の対応もあるので、いろいろと掘るとこのあたりの競争は面白そうですね。

Starlinkも、通信提供地域は対象となる国での承認が必要なので、ある意味政治的な要素も含みます。
下記サイトで最新のサービス提供情報を公開していますので、気になった方は覗いてみてください。

これからは、宇宙衛星だけで地上通信が容易に実現できる時代がくると思います。
産業・軍事両面での判断が必要ですが、まずはすべて飲み込んでポジティブにとらえて、その時代での新しい用途を考えてみるのも一興ですね。

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