見出し画像

佐藤幹夫と数理の架け橋

偉大な日本の数学者のお一人が亡くなりました。

いままで名前だけは存じ上げてましたが、内容が難しくて追いかけられなかったのが本音です。

上記を読むと、その自由な発想力(朝日新聞のタイトルはちと狙いすぎですが・・・)、ノーベル物理学賞を受賞した 朝永振一郎に学んでいたことを知ってさらに興味が湧きました。

公開情報で知ったことを書いておこうと思います。

まず、初めにでてくるのが「佐藤超関数」という用語です。そもそも「超」関数とは?こちらで分かりやすい説明があったので参考にしました。

きっかけの1つは、物理学者ディラックが打ち立てた理論に出てくる「デルタ関数」だったようです。
変数が0の時は無限大、それ以外は0を返す、でも無限大で足し合わせると1になるという関数です。

なぜこんな不思議な関数を持ち込んだかと言えば、当時物理の世界で開拓中だった「量子力学」を数学的に整備するためでした。

過去に量子力学の歴史について「量子もつれ」を意識して軽く紹介しました。

紙面の都合上ディラックは登場しませんでしたが、れっきとしたパイオニアの一人です。
一般相対性理論と量子力学の融合にある程度の成功を収めた偉大な研究者で、今ではその存在が確認された「反物質」も理論で予言した業績で有名です。

話を戻すと、この物理現象を説明するために導入された関数は、シュワルツによって1940年代に数学として正当に取り扱われ、「シュワルツの超関数」と呼ばれます。
シュワルツはこの仕事で1950年に、数学のノーベル賞と呼ばれるフィールズ賞を獲得しています。

なんとなく近づいてきました。

佐藤氏はこれを別の見方で解釈しなおし、それを佐藤超関数と呼ばれます。

教科書的に書くと・・・

超関数とは、上半平面と下半平面で正則な関数の境界値の差である

ですが、砕いて書くと・・・

実数と虚数(二乗してマイナスになる数)を表したいずれも微分が可能な領域を、2つに分割して引き算した関数を超関数と呼びます。

字を足しただけで理解度が上がった気がしませんが、意義としては「微分しやすくなった」ことです。

大概の理論は微分が出てくるのと、結構できない箇所は多いので、これは結構現実社会でとても役立ちます。

朝永氏に師事していたことから、純粋数学だけでなく物理にも造詣が深かったのだろうと思います。

なにより現代科学、特に物理の最先端は高度な数学が必要とされ、逆に「超ひも理論」になってくると、まだ検証可能性が見出されていないので、数学のほうが先行している、とさえ見ることが出来ます。

宇宙研究施設のなかには、数学と物理の連携を強く打ち出したカブリ研究所もあります。

これからますます数学との他分野連携は必須になるとおもいます。

そんな時代の到来に多大なる貢献をした佐藤幹夫氏のご冥福を心よりお祈りいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?