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心を読まれない「ニューロライツ(neurorights)」が議論される

BMI(Brain Machine Interface)で国際的なイベントが行われ、なかなか興味深いテーマだったので、その記事を紹介します。

ようは、
国際的な会議で心を読むテクノロジーに対する個人の権利が議論された、
という話です。

BMIは過去何度かとりあげたので、そこから1つを引用しておきます。

国際的な会議は7月中旬にパリで開催され、ユネスコ主催で神経科学者だけでなく、倫理学者や政府関係者も参加しています。

ユネスコはこのニューロテクノロジーに関する報告書もこちらで公開しており、先にその市場予測を紹介します。

世界中で関連する特許出願数が2015年から2020年の間に毎年2倍に増加しています。その投資は2010年から2020年の間に22倍に増加し、現在は330億USドルの産業となっています。

以前より盛り上がりは感じてましたが、こういった数字を見ると予想以上の動きです。

ただ、今回の会議では、その神経データを守る議論を中心に行ったようです。

個人の神経細胞データに関する消費者向けデバイスや関連サービスを提供する企業18社を調査した結果、その個人データ提供する際に契約が交わされて、17社で第三者と共有する権利を保持しているとのことです。

神経細胞のふるまいを個人データとすると、最近話題のCookie規制にやや近いかもしれません。

念のため補足すると、第三者がブラウザを識別するCookieを取得することを2024年にはなくす方向で動いています。
特に広告を収益源とするテックジャイアントは大きな方向転換を強いられています。

そしてこのパリでの会議では、興味深い単語も登場しています。

脳神経関連権(neurorights)」です。

この和訳が公式かは分からないですが(念のためタイトルはカタカナ)、ついに脳科学もここまで来たか、という印象です。

具体的には下記5つの権利が参加者の神経科学者から提案されました。

  • メンタルに関するプライバシー保護

  • 人格を変える操作からの保護

  • 保護された自由意志と意思決定

  • 精神的増強への公平なアクセス

  • ニューロテクノロジーの中心となるアルゴリズムのバイアスからの保護

今回の提案は次のステップにつながります。
実はユネスコは、過去に人工知能に関するガイドラインを策定しており、BMIでも同じような動きになります。
そのガイドライン作成賛否を問う投票が11月に行われるので、その結果をうけて世界的な注目がさらに高まるかもしれません。

新しい技術につきものですが、少なくとも個人データの概念を見直すべき時期には来ているのだろうと思います。

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