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レアメタルのゲームチェンジが進む

スマホやEVの普及化で、最も重要といえる資源は「バッテリー」かもしれません。

特にスマホは「リチウム電池」がほぼ主流になりつつあり、各研究所がしのぎを削ってその性能向上に努めています。

最近でも、その効率向上につながる注目のニュースが流れてきました。

ようは、
通常は負極に炭素を使っているが、それをリチウム金属に置き換えた最適な電解液の探索にAIを使って成功した、
という話です。

既にAI、特に機械学習を使った素材探索は定番ともいえる手法です。
既に「マテリアルズ・インフォマティクス」と普通に呼ばれていますね。

今はこのようにリチウム電池ありきで、そのためには原料である「レアメタル」と総称される文字通り希少な金属類が必須です。

しかしながら、これが今回起こっている国際紛争などの影響で急騰し様々な産業・社会に影響を及ぼしています。
社会の代表的なテーマを挙げると、環境問題です。以前にNHKがレアメタル特集したときの文字解説が残っているので紹介しておきます。

リサイクルは重要だと思いますが、そもそも暗黙的に必要と思い込んでいる「レアメタル」について、別の選択肢を模索している研究も存在します。

ようは、
ウイルスの分子結合方法を活用した、レアメタルに代わる新しい触媒の可能性を見出した、
という話です。

そもそもレアメタルの役割は「触媒」です。もっとミクロにみると、分子同士を効率的につなげる役割です。
それを生物(ウイルスを生物と呼ぶかはさておき)の特性を生かした、という自然の知恵を人工的に再現した研究です。

出所:上記記事内の図

ピンセットのような形状を持つ分子同士が自己相補性という特性を生かして繋ぎあうそうで、ナノ(10のマイナス9乗)サイズでの動きです。

ピンセット分子という名前もユニークですが、改めて自然の持つ不思議な力とそれをナノサイズまで設計できる今の科学技術の力に驚きました。

そもそもですが、上記で触れた自己相補性の最たるものは、DNA内の塩基対ですね。

生命科学の基礎中の基礎ですが、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基が、常にAはT、GはCのみとペアを組んで梯子となりDNAは二重らせん階段を形成します。
この原理があるからこそ、次世代への継承、つまり遺伝が実現し、さらにはDNAが損傷してもリカバリすることもできます。

と、今でこそ常識として教科書でさらっと学びますが、よくよく考えたら、
「なぜそんなことになったの?」
とストレートに聞かれると・・・言葉が出ません。何億年と重ねてきた地球の生命活動が生んだ生命存続のための最適解、とお茶を濁すしかないです。

そして今回のレアメタル不要を目指す研究は、そういった自然が獲得した性質を分子レベルで制御する時代が到来したことを指すわけで、改めてすごい時代にいることを改めて痛感します。

レアメタル争奪戦で世の中が悪い方向に進まないよう、いつかこういった研究が実用化につながることを願ってやみません。

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