見出し画像

宇宙のアリスが反物質(反ヘリウム)を探索

「今際の国のアリス」第二章がNetflixで配信が始まりました。

日常からいきなり別の世界に連れられて理不尽なゲームを解こうとする、という設定で、とても面白かったので一気見してしまいました。

原作は見てませんが、「アリス」は主人公の名前ですが、異次元に迷い込んだ「不思議な国のアリス」を意識して名付けたと思います。

これはフィクションですが、物理の分野では、我々が知覚出来ない高次元や別の宇宙(マルチバース)という仮説は提示されています。

ただ、それを証明する実験方法の目途もついておらず、検証されるのはだいぶ先になりそうです。

実は、もう1つ我々の身近にはないけど存在が確からしいと思われているフィクションに近いのが「反物質」という存在です。

素粒子の種類を決めるのは、おおざっぱに言えば、重さと電荷、あとは量子状態を決める「スピン」という情報量です。最後だけ回転速度と誤解を招きそうなので、過去に説明した投稿を引用しておきます。(今日のメインではないのでそれ以上は割愛)

このうち、電荷だけ違う物質のことを「反物質」と呼び、1928年ごろに物理学者ディラックが量子力学と相対性理論を組み合わせることで理論的に予言したのが発端です。

反物質は既に1932年には、陽電子(電子の反物質)が検出されたので、その存在はあることはほぼ確かです。

ただ、なぜかこの宇宙には通常の物質よりも極端に少なく、これはまだ大いなる謎としていろんな仮説が提示されています。

その1つが、ニュートリノが宇宙創成期に影響を与えた対称性の破れで、過去にも投稿したので引用しておきます。

そんな反物質ですが、水素とヘリウムまでは人工的に合成することに成功しています。ただし、反物質は通常の物質と反応すると消滅するため、極めてその寿命は短いことが分かっています。

この「反ヘリウム」が宇宙にどれくらい存在し、そして観測可能なのかを調べた研究成果が最近発表されています。

※タイトル画像は研究所グループ内画像より引用

ようは、
暗黒物質(ダークマター)の候補である未知の粒子説に従うと、その崩壊過程で反ヘリウムが生じ、それを観測出来るかもしれない、
という話です。

暗黒物質は、過去何度もふれたので基礎知識の解説は割愛しますが、我々の物質の4倍以上も宇宙空間で占めています。

今回の発表は、「ALICEコラボレーション」と呼ばれる国際プロジェクトの1つです。これでALICEがつながりました(ちょっとフリが長すぎました・・・)

実験の結果、銀河を数万光年進む反ヘリウム3は、約50%が地球に到達するそうで、その割合から暗黒物質を辿る道が一歩近づくかもしれません。

直近では、北極圏上空に気球を飛ばして観測を行うGAPS計画が2025年に予定されており(過去ISSで反ヘリウムは検出済み)、今後このアリスの活躍も注目していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?