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人間は脳のわずかしか使ってないという都市伝説

前回の投稿で、「右脳と左脳優劣」の都市伝説について触れました。

これと同じぐらい、子供のころからよく聞かれるのが、
我々人間は脳のわずか(3%や10%の表記が多い)しか使っていない
という説です。

私の場合は、一番覚えているのは「北斗の拳」という漫画/アニメです。

主人公の見せ場になると、「北斗神拳とは?」とナレーター解説が入るのですが、まさにそれが冒頭の都市伝説です。
この拳法(下記の通りWikiにもありますが架空ですのでご注意)を会得すると、人間の能力を100%引き出すことが出来ます。

大人になってからは、2014年の映画「LUCY(ルーシー)」で久しぶりにこの都市伝説を取り上げた内容に出会いました。

化学物質の作用で脳が覚醒する物語ですが、綿密な科学設定に基づくものではありません。
100%に近づくとすごい世界観になりますが、これ以上はネタバレのため触れないでおきます。
上記解説に載っている問題のない範囲で書くと、20%覚醒すると外国語を1時間でマスター出来るそうですよ☺

このように、今でもこの都市伝説は残っているようで、出所を調べた記事を見つけたので紹介しておきます。

前回の回でも登場した、ロジャー・スペリーが、この説が根拠に乏しいことを喝破してますが、完全に否定できているわけではありません。
あえていえばですが、スペリー氏のなかで、下記の指摘がある程度説得力があるかもしれません。

「脳の重さは体重のわずか2%だが、エネルギーはどの臓器よりも多い20%を消費する。40%以下しか働いていない臓器が、それほどのエネルギーを要するとは思えない」

出所:上記記事

言うまでもなく、この説は都市伝説です。
残念ながらその起源を突き止めた記事は見つからなかったので、様々なルートで流布した結果なのでしょう。日本で言う口裂け女の伝説に近いのかもしれません。

それで、出来る限り正すための反論を書いておこうと思います。
その1つとして、これも前回触れた通り、脳は機能毎にある程度独立して活動しています。認知系は大脳新皮質、運動系は大脳といったように。
ただ、それでも特定の部位は完全に単独でなく他の部位とも連携しているため0か1かではありません。

そしてなにより、実は脳は常に活動しています。

脳を構成する約1000億個の細胞レベルまでさかのぼると、微弱な電気信号が確認されています。
ですので、たとえ直接関与していない部位以外でも、活動していないわけでなく、PCに例えると「スタンバイ」モードに近い状態です。
なかには、もしかしたら微弱な電気信号で外界のモデル化をおこなっているのでは?という仮説を提示している人もいます。(ジェフ・ホーキンス

いずれにせよ、トンデモ科学には騙されずにぜひ理性的に判断できるように最低限の科学リテラシーはつけていきたいと改めて感じました。

参考までに、ちょうど前回紹介した記事の著者本にもこの都市伝説について、反論が記載されていますので、紹介しておきます。


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