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批判覚悟でボーダーレスに生きる

大好きな古市憲寿さんの初の小説
「平成くん、さようなら」が
芥川賞候補にノミネートされたと
今日のニュースで知った。

小説なんてほとんど読まない私の
この物語についての感想はさておき
(控えめに言って最高に良かったですが)
今日はちょっと別のことを。

先月放送のNHK「ニッポンのジレンマ」
ゲストは五木寛之さんだった。
86歳とは思えない
柔軟で古びないものの考え方。
時代を生きる、を体現しているようで
五木さんの一言一言が心に沁みた。

誰から吹き込まれたのか
「今の若い人って、スマホがないと生きていけないじゃないですかぁ」
「肉声じゃなく、メールという文面だけでやり取りするのってどうなんでしょう」
と言う若者(20代に見えた)に対して
「時代は変わる。僕はそれに対して否定的ではありません」
「その時代その時代のツールを駆使するのは、良い悪いじゃなく、時代の必然ですよ」
と穏やかに話す五木さん。

まるでやり取りが逆だな、と
少し面白くもあった。

いつもは 如何に毒を吐いてやろうか、と
いたずら少年のような顔をしてる古市さんが
思わず五木さんに
「僕はこれからどうしたらいいんでしょうか」と漏らした瞬間が
かなり印象的だった。
大好きなお爺ちゃんに心を許して
悩みを吐露する孫、なんて表現したら
失礼なのかもしれないけど
物事をあるがままに受け入れ
押し付けがましく説教なんてしない五木さんに
安心して弱音を吐きたくなるのは
テレビを観ていただけの私でもそうだった。

古市さんは「学者」でありながら
テレビでコメンテーターをするだけでなく
MCをしたりバラエティ番組に出たり
本も様々なジャンルで出してるし
とうとう小説まで出した。
そういったことを快く思わない学者や作家は
たくさん居る、とのこと。

これは一般人でもそうで
たいてい誰かが専門でないことを始めると
その道の専門家はいい顔をしない。
実績もないのに、とか、専門知識もないのに、とか言って
自分のテリトリーを守りたがる。
「あの人は○○の人」とカテゴライズすることは
一定の安心感を与えてくれるのかもしれない。

「そうだね、古市くんなんかは、小説も出したしね」と言ったあと
五木さんはトーンを一切変えることなく
「批判は覚悟の上ですよ。好きなことしてるんだから」と微笑んだ。
ご自身も活動の内容が多岐に渡る五木さんが
古市さんのことを言っているのか
はたまた自分のことを言っているのか
私には分からなかった。

「好きなことして生きてるのに、誰からも批判されないのも可笑しな話でね」

「批判覚悟でボーダーレスに生きる、と言うかね」

一切毒を吐かなくなった古市さんが
黙って五木さんを見つめ 軽く頷く姿は
こちらにもグッとくるものがあった。

全くもってレベルが違うとは言え
私自身も、どちらかといえば
ボーダーレスに生きている方だと思う。

ときにはそれだけで
人を不快にさせているかもしれない。

だけれども。
自分のやりたいことをやってるんだから
批判なんて覚悟の上でやれよと
ポンと背中を押された気がした。

五木さんはそうやって生きてきたのかな。

次は五木さんの本を読もうと思った。

古市さんに芥川賞を獲ってほしいな と思いながら
ちょっと思い出したことをキロクする夜。


#古市憲寿 #五木寛之 #NHK #ニッポンのジレンマ #平成くんさようなら

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