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クラフトビールビジネスはOEMから始めよう

今日はちょっと暑さが和らいでる気がします。
毎日暑い。ビールがうまい。

関東にちょっと行ってまして、
展示会のセミナーにゲストスピーカー的な感じで登壇してきました。
「事例から学ぶ、ゼロからはじめるクラフトビール」
というタイトルで、
クラフトビールの設備を手掛けてらっしゃる株式会社一ノ瀬の一瀬社長のもと90分のセミナー。
ビッグサイト、国際展示場の国際発酵醸造食品産業展のセミナー会場の小ブースで60名の事前申し込みで満員御礼でした。


セミナー満員御礼

関心の高さは感じます。
ストレートにブリュワリーを始めたい方、
研究職で学びのために来られてる方、
事業の多角化でクラフトビールビジネスに興味がある方、
おそらく同業で視察に来てる方などなどなど。

クラフトビールってなんやねん、みたいな基本的な話から始まり、
クラフトビールのマーケットの話、
設備メーカー主体のセミナーということで、
ブリュワリーを始めるために必要な設備や場所の要件、資格や許認可の話、リアルな資金の話はもちろん、
どんな人材が適正なのか、という点もお話しました。

で、
何から始める?
という話でOEMから始めよう、
という話が出てきたので今日はOEMでクラフトビールビジネスを始めることについて書きたいと思います。

Original Equipment Manufacturing

弊社もOEMのビール製造をクライアントから依頼頂いて製造する機会をたくさん頂いてます。
下請けと言えば下請け。
製造側からすれば他社ブランドの製品を作ることを言いますが、クラフトビール的には、ファントムブリュワリーという言い方ができます。
委託醸造です。

なんでOEMのビール販売から始めるのがいいのか。
最近のクラフトビールブームで、ブリュワリーが乱立していますが、そもそもクラフトビールを作ったことがない(既存のクラフトビールメーカーで修行をしたり長期の勤務経験が全くない)人がいきなりブリュワリーを始めるパターンが多く見られるようになりました。

中にはクラフトビールのことをよく知らない、
普段から飲んだりもしない、

そういう方でも資金があれば始められるのが今のクラフトビールビジネスです。

まぁ飲食店も同じですが、
飲食店始める人でもさすがに家で料理もしたことないという人はあまりいないでしょう。

酒類製造は国税庁からの許認可が必要なので、
個人が勝手に作ってビール造りを学ぶという流れが(基本的に)NGなので、致し方ない部分はあります。
だからこそ私のような立ち上げサポートや継続的な技術サポートのビジネスが成り立つんですが、クラフトビールは作るより売る方が大変なのです。

ほんとに売れるのか?テストマーケティング

いきなりブリュワリーの設備投資に何千万円もかけて始めてから、思ったより売れないぞ、、、
というパターンが多くあります。
そこで、まずOEMという形で自社ブランドのビール製品を作ってみる。
クラフトビールの販売でまずは自社ブランドのテストマーケティングからやりましょう。

ブリュワリーから始めようが、
OEMから始めようが最初に考えることは同じです。
自分がどんなビールを作って売りたいか、
どんなターゲットにどんなシチュエーションで飲んでほしいか、
どんなチャネルでどんなルートで売れるのか、
いくらくらいで売りたいのか、売れるのか、
などなどなどテストマーケティングから得られることはたくさんあると思います。

逆算開発 ハコモノもビールも同じ

出口戦略もなくいきなり設備投資から計算して、
これくらいのコストがかかるから、これくらいで売らないといけない、
これくらいの量が売れればやっていける、
では、そもそも事業計画がおかしいはずなのに、
なぜか皆さん入口から考える人が多いのが不思議です。
そういえば都市経営で逆算開発することが大事と改めて教えてもらたことと全く同じですね。
公共施設で立派なハコモノを作っても誰も使わないことと、クラフトビールも実は同じなわけです。

逆に、設備投資を抑えて過小ロットでスタートした場合に、手間ばかりかかって全然儲からないというパターンもあります。
結局数年後に再投資して最初の投資がほとんど無駄になる、スペースも足らず工場移転せざるを得ない、ステップアップというにはお粗末な事業計画を描く人もいます。
OEMから始めれば、ある程度は販路や製造の計画予測ができるようになり、より精度の高い事業計画や投資計画が立てられるはず、というのがこのセミナーの落としどころでした。
設備メーカー主体のセミナーで、うちの設備買って下さい、の前にこの話が出来るのは誠実な姿勢だなと感心した次第です。

クラフトビールはめんどくさい!を知る

単純にクラフトビールの取り扱いの面倒さを知るためにもOEMはいいと思います。
セミナー参加者からの質疑応答でもOEMの質問が多かったですが、
どんなビールを作ればいいか、どう伝えればいいか?
という質問もありました。
いわゆる商品開発、ビールのレシピ設計もOEMで経験ができます。
一番簡単なのは、サンプルを持っていくことです。
このメーカーのこのビールみたいなやつを作りたい、と言われるのが製造側としても商品設計しやすいです。

ビールの液体のクオリティだけでなく、
パッケージデザインやブランドデザインも先行してできる点もメリットです。
クラフトビールは今、パッケージデザインも多様化してかっちょいいデザインでジャケ買いするユーザーも多い。
美味しいクラフトビールは当たり前になってきているので、デザインやストーリーでどこまで勝負できるかも重要なポイントになってきました。

さらに、クラフトビールの弱点、要冷蔵商品の取り扱いの難しさもOEMで学ぶべきと思います。
OEMでビールを作る場合、
基本的にはロットの全量買い取りになるので、
平均的には330mlのパッケージ商品で1500~3000本程度のストックがいきなり納品されます。
この量のビールを要冷蔵でどこに置くねん問題は想像以上にやっかいです。
ちょっと大きな業務用冷蔵庫くらいでは到底保管しておけないので、冷蔵設備のある倉庫業者さんなどに外注することになるとこれまたコストがかかります。

冷蔵保管問題が解決しても、
配達するのか、発送するのか、物流の課題もさらに出てくるのでこれも理解しておくべきでしょう。

酒類販売免許が必要

酒類販売には、これまた税務署の販売免許の取得が必要になってきます。
OEMでビールを販売するにしても、卸免許、小売免許、通販免許などさまざまな免許があるので、自分がどんな販路を目指すのか改めて考えて必要な免許を取りましょう。
ちなみにOEM専用の 自己商標酒類卸売業免許というのも存在します。こちらは卸売販売も可能な免許なので、自分の目指す販路にはどの酒販免許が必要なのか調べてみるのもよいです。

なかなか長文になってきました。
要は、売れる分を作るための設備投資をするためにOEMは有効って話です。
営業力を試す、という話でもあります。
ぶっちゃげほとんど儲からないと思いますが、
いきなりブリュワリーに投資するよりは遥かに少ない投資でチャレンジできます。

弊社では小ロットでのOEM製造も請け負ってますし、そこからスタートしてブリュワリー立ち上げのお手伝いをさせてもらうことが多いのも大変ありがたい話です。
OEM製造で得られる経験も弊社にとって貴重な財産ですね。

ここまで言っても、いきなり始めちゃう人が多いのが世の常ですが、今日はこれくらいにしたいと思います。


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