溝井孝司

絵や織物など創作活動しています たまに踊ります たぬきのみやげ営業中→https://…

溝井孝司

絵や織物など創作活動しています たまに踊ります たぬきのみやげ営業中→https://tanukimiyage.official.ec/

マガジン

  • スポットクーラー

    スポットクーラーが家に来てからのエッセイ。

最近の記事

今日の朝まではなかったものがそこにはある。

 「森にでも行ってみたら?」  そうしてみるかぁ。近頃なんだかうなだれている。とにかくずっとだるいのだ。花粉かもしれないし、天体的なアレかもしれないし、水星逆行かもしれないし、睡眠の質が悪いのかもしれないし、とにかく絶好調って感じじゃ無い。とはいえ基本的に低空飛行なのだ。手足だって相変わらず冷えやすい。冷え性なのだ。何がともあれ森に行ってみたらいい。このままうなだれてるよりはずっとよいだろうし、きっと少しは気分だって晴れるだろう。動植物のリズムに触れるとホッとする。鳥が鳴いて

    • あたまの中は忙しい。ひょんな一言で検索が始まる。

       山道を登って行くと「大仏に行く道はこちらで良いですか?」と、鉢合わせたハイキング中のマダムに声をかけられる。「はい、えーとここ下って行って、まっすぐ行くと着くんですけど、あれ?大仏って本当にこっちで良かったっけ?長谷の方だからあってるよな?ていうかまだ結構ありますよ。20分くらいは歩くかな?まあ看板出てるしなんとかなるか。そういえばこの前、ファミマの前で黒酢のドリンク飲んでたら中国の人に頼朝の墓は何時までやってますか?と声かけられて多分夕方とか17時くらいじゃないですかねぇ

      • おおお、ついに見つけたぞ。狙っていたカフェオレ味ではなくフルーツ系のやつだけど。

         近頃スーパーやコンビニや薬局に入ると無意識に探してしまうものがあって、それはカロリーメイトで、今まで好んで食べていたわけでもないのだがある日晩ご飯を食べているとカロリーメイトがバランス栄養食としていかに優れ、どのようにしていまの形態に至ったか、またそのパッケージのデザインの素晴らしさなどなどについてmiiさんに熱弁された。まるで大塚製薬の職員さんみたいに。ご飯食べながら話半分でふむふむと聞いていただけなのだが、その日を境に僕はカロリーメイトの様々な商品を目で追うようになった

        • もっと全部描き残したいんだよな僕は、と思った。

           春がきてるようなそうでもないような。まだ日が暮れると寒かったり、風は冷たかったりする。着込んだ服の隙間を我が物顔で通り過ぎていく風よ。お手柔らかにたのむ。それに花粉も飛んでいるらしい。目がしぱしぱ、時折くしゃみ。体もどことなく気だるい。毎日が勝負だ。今日はどんな具合か。朝になってみないとわからない。そんな不安定な日々が春なのだ。毎年春は身も心も不安定な気がする。物語はちと不安定。N'夙川BOYS。  絵の販売を始めて3週間が経った。一枚売れた。嬉しい。とても嬉しい。これま

        今日の朝まではなかったものがそこにはある。

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        • スポットクーラー
          8本

        記事

          だから頼むよシボリくん。もう人をいじめたりしないでおくれ。

           山道を下って大通りに出る。歩道を歩いていると前から自転車に乗った男の子がやってくる。この街の歩道は狭い。鉢合わせてしまうと思ったら男の子は自転車を寄せて止まってくれた。僕はすれ違いざまありがとうと言おうとしたがうまく声が出なかった。とにかく会釈ぐらいはしたと思うのだが、突然胸のあたりから声がする。 「んんんダァァァゴラァ!!おぉぉぉぉい、テメェブチ○すぞゴラァ!!!!」  そして僕の胸はぎゅーっと苦しくなる。雑巾絞りがやって来る。(不安とか心配事とか恐怖とかそういう類の

          だから頼むよシボリくん。もう人をいじめたりしないでおくれ。

          あの森は一体どこに行ってしまったのだろう?

           森を抜けてからというものどこを歩いてもコンクリートの地面が続いていた。時折、農作業をしているのか作物がちらほら見える。キャベツとかブロッコリーとか。そこにある土に触れる。踏み入れることはしない。小さなその段差は超えてはいけないものなんだと思う。きっと誰かの敷地内だから。そういうことに遠慮するというのは当然のことなのかもしれないし、ただ少しその敷地内であろう場所から土が溢れてコンクリートの上に積み重なっていた。だからそれを踏む。踏んでみると気持ち良いなと思う。足の裏にあの時踏

          あの森は一体どこに行ってしまったのだろう?

          もう一度胸を撫で下ろそう。はぁ、生きてるってなんだかありがたいなぁ。

           せかせかした感覚になるのだけど春が近いのかなぁなんて思ったりしつつ、せかせかがイライラや焦燥感になるとまた困ってしまうので、胸をなでおろす。なでなで。アップアップした呼吸をもう一度ゆったりとした呼吸に戻して行く。ふわぁーーーー。肺が膨らむ。チヂミ。いや縮む。ゆっくりゆっくり何回もその感覚を確認する。膨らんで縮む。膨らんでチヂミ。いや縮む。満たされるっていう感覚が訪れるのですが、ぶわぁーーーーーーーっと何かひかりが身体中を駆け巡って行く感覚。満たされている状態に突入していると

          もう一度胸を撫で下ろそう。はぁ、生きてるってなんだかありがたいなぁ。

          ほしいもの、ほしいもの…。あ…楽天ポイントカードがほしい。

           「最近服を買わなくなったねぇ」と、miiさんに言われた。確かに最近買ってない。もちろんバシッと目があって気に入ったら買うと思うのだが、結局自分たちで作ったものを気に入っているのでよく着ているし、なんだかそれが満たされたりもしてとても満足しているのだ。夢は全身一式自作の服なんて思っていたらそれはすっかり叶っていてやっぱり最高だなと思う。それでなんだかふと思った。僕は今何がほしいのだろう。ほしいもの、ほしいもの…。あ…楽天ポイントカードがほしい。そうなのだ。僕の生活圏では今楽天

          ほしいもの、ほしいもの…。あ…楽天ポイントカードがほしい。

          起き上がりたいんだ、へるぷ。

           ゆりかごの中で眠っている。目は閉じているみたいだった。天井が真っ白で、周りが木枠で囲われている。木枠に手を伸ばして握る。まずは柔らかくこれがなんなのか観察でもするみたいに。そしてぎゅっと力を込めて。木枠は温かくも冷たくもなかった。加工されたその木材は地面から生えている木とはまったく違う存在に思えた。それは木としては死んでしまっているように思えた。何も言わずにただ形状を保っている。腐ってもいないし、汚れてもいない。綺麗に磨き上げられて、ツルッとしている。そうか、と思った。もう

          起き上がりたいんだ、へるぷ。

          真っ赤な"はんてん"をまとった、ちゃんちゃんこかぶり

           ヒーターの前に居座っていたらなんだか焦げてる匂いがする。ああ、僕のちゃんちゃんこ焦げ臭いなと思う。この時どうしてこんなにのんきだったのかよくわからない。ああ、ぼくのちゃんちゃんこ焦げてるな。そう思っているのに、体はそこから離れられない。もちろん寒いからってのもあるんだけど、もうちょっと慌ててもいいもんである。miiさんがなんか焦げ臭くない?と、すぐに察知する。一度仕事中に焦げ臭さを察知して火事を未然に防ぐ大快挙をやってのけた嗅覚の持ち主だ。気づかないわけがない。 「うん。

          真っ赤な"はんてん"をまとった、ちゃんちゃんこかぶり

          かっかととっと

          お母さんはかっかで お父さんはとっと あそこの親子はかっかととっと ぼくはなんて呼んでるだろう ねえねえ おなかすいた なんかある〜?(食べ物) ラーメン食べたい なんだこの差は なあ、おふくろ なあ、おやじ いやなんだかとっても恥ずかしい ゆうこさん みつおさん うん まだ呼べそうな気がする サッカー少年を見て かっかととっとを名前のさんづけで呼ぶことにした

          かっかととっと

          そう、僕がいるのはユーラシア大陸(?)

           開脚しながらストレッチしていると360度回転できる!やった!ついに達成された僕の夢。一緒に踊った子供達が軽々とこなす開脚しながらスイ〜っと足を後方に回転させるあの秘技。僕だってやれるはずだと思い始めて早数年。ついにこの日が来た!骨盤がクイっと、なんかそこにある骨、名前わからないけどなんか骨盤のところにささってるというか繋がってる太ももの骨がクイっと軽やかに動いて、おおおおお!なんて滑らかな骨&関節!すんげぇ、すんげぇと大興奮。そのままスイ〜っと360度。なんか詰まりが取れて

          そう、僕がいるのはユーラシア大陸(?)

          東京で正気を保つために過ごす日々として僕にはパーフェクトに思えた

           ショッピングモールがとにかく苦手であることに改めて気がつく。miiさんには大変申し訳ない気持ちになるのだが毎度行くと機嫌が悪くなる。だけど映画を観るためなのだ。映画を観てる間はなんとか世界に浸れるだろうと思い映画館に入ったらなんとほぼ満席である。辛い。そしてイライラしてくる。人が多すぎる。若干パニックになる。口にはしなかったが外に出て待ってようかなぁと真剣に考える。だけど映画も観たい。ひとまず呼吸をしながら空間と身体を合わせてみる。これで落ち着かなかったら外に出ようと真剣に

          東京で正気を保つために過ごす日々として僕にはパーフェクトに思えた

          僕は笑い声が大きい方ではないので、うっしっしくらいなもんだが

           おにぎりを握る。具はふきみそ。きっと味噌が染み込んでうまいはずだぞうっしっしなんて思いながらmiiさんの分は合間合間で食べやすいように小さめふたつ。僕はひとまわり大きいものひとつ。おにぎりを握るのも少しの技術が必要だ。にぎにぎしすぎると固くなってズッシリしすぎる。なので軽くではあるが崩れない程度の最高のバランスを目指すのだ。これぞ必殺オリジン弁当握り!(昔働いていたことがある)  そういえばオリジン弁当で働いていたとき日勤帯の時は割と主婦の方たちと入ることが多かった。人見知

          僕は笑い声が大きい方ではないので、うっしっしくらいなもんだが

          モノリス、いや、羊羹、いや、あの水たまり

           不思議な音のする水たまりを見つける。池なのかもしれないし、ただ雨水が溜まっているだけなのかもしれない。落ち葉や折れた枝なんかが浮かんでいる。不思議な音のする水たまり。今なんだかそのことが気になっていて、あれはなんだったのだろうと回想する。吹き出しがホワンホワンと浮かんできて、そうしたらそのシーンへ突入。しかしなんだかぼんやりとした記憶でうまく思い出せない。あれはなんの音だったのだろう一体。水の中から確かに聞こえていたし、鳥の声にも似ていた。僕たちが近づいて行くとそれらは静か

          モノリス、いや、羊羹、いや、あの水たまり

          ヤマヨシくんに起きた出来事。

           ヤマヨシ君はある日を境にまったく別のヤマヨシ君になってしまった。僕たちは同じ教室の中にいたし、よく放課後に一緒に遊んでいた。ヤマヨシ君のことをクラスメイトは親しみを込めてヨッシーと呼んでいた。ヤマヨシ君は恐竜が好きだったし、マリオに出てくる恐竜を愛していた。だからヤマヨシ君とマリオに出てくる恐竜の名前はヤマヨシ君の中でもクラスメイトたちの中でも親しみある愛称としてうってつけのあだ名だった。ヨッシー、ヨッシー、ヤマヨッシー。ヤマヨシ君は愛嬌のある動物みたいだった。時折ゴリラの

          ヤマヨシくんに起きた出来事。