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そう、僕がいるのはユーラシア大陸(?)

 開脚しながらストレッチしていると360度回転できる!やった!ついに達成された僕の夢。一緒に踊った子供達が軽々とこなす開脚しながらスイ〜っと足を後方に回転させるあの秘技。僕だってやれるはずだと思い始めて早数年。ついにこの日が来た!骨盤がクイっと、なんかそこにある骨、名前わからないけどなんか骨盤のところにささってるというか繋がってる太ももの骨がクイっと軽やかに動いて、おおおおお!なんて滑らかな骨&関節!すんげぇ、すんげぇと大興奮。そのままスイ〜っと360度。なんか詰まりが取れている!これから軽やかな、こんな骨盤とそこに接する骨のように軽やかである人生の幕開けや!どうだ!みんな今の有志見てくれていたかい?ドヤドヤと周りを眺めると鏡に映る僕一人。なんだか嬉しいやら寂しいやらそんな夢。
 さて夢から覚めた僕は現実に戻る。気圧のせいか頭がちょっと痛い。ちぇっなんだいなんだい。いい気分だったのにと思いつつ、まずは朝ごはんと思い直して作りはじめる。今日は簡単にレーズンパンと紅茶。それとバナナヨーグルト。何がともあれ朝ごはん食べたらストレッチしよう。もしかしたら本当に360度いけるかもしれない、なんて期待しながらストレッチ。まずはあぐらかいてゆーらゆら。床とおしりの接点を感じて背骨を立たせてゆーらゆら。腰周りが硬いんだと最近気がついて少し意識を当ててあげる。硬いから動かせないと思っていたけどちょっとずつできる範囲で動かしてあげることで可動範囲が広がってくる気がする。決して無理しない範囲で。「柔らかくなれ!ほれ!硬い身体!柔らかくなりやがれ!」なんてぎゅーぎゅーやってたら嫌になってしまう。優しく、無理のないように、頑張らず。ただただゆーらゆら。そんなふうにしてると体の重みを感じられてとっても気持ちいのだ。ゆーらゆら。そう、僕がいるのはユーラシア大陸(?)
 さて、夢の開脚ですがやはり変わらず150度くらいだろうか。あれ、もしかしたら160度くらいかもしれない。これでも随分開くようになって柔らかくなってきたのだ。あとはそこからどうやってスイ〜っと後ろに回るのだろう。もうちょっと、もうちょっと。だけど慌てずに。これでも随分柔らかくなったのだ。よくやってるねコウジくん。さてパンケーキが食べたい。

 なんだか今日のmiiさんはやに静かである。物静かにパンケーキを作るmiiさん。「あなた、これまでで一番うまく焼けたわよ」なんてお上品に言いながら裏面を見せてくれた。ハート型の焼き目が出来てる。かわいい。さて、もちろんいつだってmiiさんは上品であるのだが、それよりもひょうきんで陽気な一面が取り立て目立っている。おかげで普段あんまり喋らない僕も非常に楽しませてもらっている。ただしかし今日のmiiさんはなんだか静かすぎる。

「私はね、今日から静かに自分の内側を見つめることにしたの」

「ほうほう」
 そういえば、枕元に本が置いてあった。読書したみたいだ。

「やっぱりね芸術家というのは自分の内側に入っていかなくちゃならないの。それには静かな時間を自分で作って行くことが必要なの。いいかな?」

「ほうほう」
 PERFECT DAYSに影響を受けているようだ。そう言えばと思って続けて話す僕。

「そういえばPERFECT DAYS観て思ったのだけど、映像とか視点とか美しいんだけどあれって日々見たことあるなーと思いながら観てたよ。それってすでにmiiさんが見せてくれた視点と似ているからで、ああこれはmiiさんが教えてくれた世界だなと思ったよ。miiさんは美術家だからね」

「あら、そうかしら。うっふっふ〜」

 とても嬉しそうだ。本当にそうだったからね。しばらくしてmiiさんはいつもの朗らかなmiiさんに戻った。今日は2月22日。猫を追いかける日だ(miiさんが数年前に溝井家に制定した祝日です)

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