クリエイティブジャンプはすべての人のもの。企画を作るためにブレイクスルーする方法

オリエンを受けたとき情報量が多く処理ができないとか、売上が上がらないという漠然とした状況に絶望。

みたいなことはマーケティングやコミュニケーションに携わる人なら誰もが経験したことがあるはず。

どんな戦略でどんな施策を打てば良いのか、このなんとも言えない先が見えない、とてつもない壁にぶち当たったときに読む本。

今日紹介したいのは、ケトルの木村さんと手書きの戦略論でおなじみの磯部光毅さん著のこちら。


「ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる」

この本は、どのようにして漠然としたもやがかかった状態から抜け出すのかを学ぶことができます。

この本では、壁をブレイクスルーする思考法(ブレイクスルースパイラル)は未来図→突破口→具体案の3つのステップで書かれています。

この3ステップを実務をイメージしながらまとめてみました。

無味乾燥なふわふわしたゴールではなく手触りのあるゴールイメージを持つ

未来図とは、 未来はこういうふうになっていたらいいのにな。

もしうまく行っていたとしたら、こういう状態なんだろうな。

半年後には、人々がこんなふうに行動している感じ。

こんな気持ちを持つ人が3年後に2倍になっていればいいはず。

といったような課題が解決したゴールイメージのことです。

ゴールイメージを具体的に持とうという話は色んな本の中で語られていますが、この本の特徴は、

目指すべき明るいイメージ、
別の言葉でいうと、手触りのあるゴールイメージと書かれていました。

このゴールイメージが無味乾燥だったり、曖昧だったりするとうまくいかないと書かれていて、たしかにそうだなと。

自分の中で腹落ちしていないゴールを設定したり、一般論ぽい(それっぽいような)ゴールを設定して、うまくいかなかった。

というような、経験をしたことがあったので、「手触りのあるゴールイメージ」というのは今後提案をする際に、自分の中の一つの指標になりそうだなと思いました。

手触りのあるゴールイメージを考える方法

目をつぶって、上手くいっている時の状況を自由に想像して、そのときの様子や気持ちをありありと自由に感じてみることです。
未来図を思い描く行為は「想像」という頭の働きなのです。

とこの本では書かれているのですが、この「想像」というのがとてもキーポイントだなと思っていて、

例えばクライアントの立場に立ってこの商品が売れている明るい未来を想像してみたり、

生活者の視点に立ってこの商品を使用することによって訪れる明るい未来を想像してみたり。

などなど色々想像へのアプローチはあると思いますが、いきなり想像してください。と言われて、

想像できる範囲のものってみんながすでに想像できている(当然顧客も想像できている)ものくらいのものしかないんですよね。

なので、いきなり答えを探しに行くではなく、クライアントや消費者に聞いてみる(インターネットで探してみる、SNSでクチコミを探してみる)ことで

どんどん想像を具体化していき、手触りのあるゴールイメージに近づけていくのが良いんだろうなと思いました。

突破口を見つけるために

突破口とは、未来図を実現するために、障害となる壁を突破するコアになる解決アイデアのことで、

フレーム思考でロジカルに考えていけば答えが見つかるような課題であれば、壁を壊す必要なんてありませんが、たいていの問題はそれでは解決できない。

ゴールが見えても突破口がわからない、課題を裏返ししただけのものになってしまうみたいなことってよくありますよね。

市場は横ばい、強い競合がいる、製品やサービスに革新的な差別ポイントはない、生産や流通にも制約がある、ブランドが飽きられている、ユーザーは関心を持ってくれない、予算は限られている、時間がない……。

おそらく、こんな制約だらけの中で解決策を考え出さなければいけない場合がほとんど。

そんな壁に対する突破口を見つけるための頭の働きは「発見」という思考。

人を動かすためには、生活者の無意識、つまり深層心理の奥深くに眠っている隠されたホンネの欲求を開拓して、その存在を顕在化させるハッとする気付きやうれしい驚きを見つけなければならない。

と、この本にはか書かれていましたが、

壁をどこかに突破する切り口はないかを探す旅に出るイメージかなと思いました。

そのためには、インプットが必要不可欠だと思っていて、とにかく情報を色んな切り口からインプットしていく。

その情報をつなげ合わせることもあれば、単独なこともありますが、壁を突破するなんらかの「発見」を探していく。

ここで一番重要なのは、「発見」をしに行くという意識をもって情報に接していくことなのかなと思いました。

具体案がないとただの机上の空論

ブレイクスルースパイラルの最後の3つ目は「具体案」。

未来図が実現できそうな突破口が見つかっても、具体的にそれがどのようなカタチになるのかが思いつかなければ、それは机上の空論になってしまいます。

その具体案をひねり出す思考法として、8つの方法が書かれていました。

①三段論法
普遍的な大前提+小前提+だから「個別の結論」という3ステップで考えるもの。
例:夏は暑い(普遍的な大前提)+8月は夏だ(小前提)→だから8月は暑い。
色んな前提を集めてくることで使える発想法。

②帰納法
「以上から○○」という「つみあげ」で発想する方法。
対象を観察し、共通点に着目して「以上から」でつなぐ方法。
例:島根で軽自動車が売れている。高知で軽自動車が売れている。秋田で軽自動車が売れている。→「以上から」地方では軽自動車が売れるはずだ。

③連想
「といえば」でつないでいく発想法。
マジカルバナナ的な考え方。あまりやりすぎると、遠くにいきすぎてしまい、関連度が弱くなってしまいますが、マジカルバナナは「バナナといったら黄色」のように、同じ要素をつないでいくので、近からず遠からずの中で新しい視点が生まれることがあります。

④組み合わせ
既存の知識を組み合わせて新しい知識を生み出す方法。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」というジェームス・ヤングの言葉は有名だと思いますが、基本新しいものはなくて、なにかとなにかの組み合わせなんですよね。
例:アンパンとヒーロー=アンパンマン
のように、全く違う何かと組み合わせていくのがおすすめです。

⑤類似
「同じように」でつなぐ発想法。他の世界でうまくいっていることは自分のところでも使えるのでは?と考えるやり方。
例:ビール工場の生産ラインを見るとわくわくする→同じようにお寿司が回ってくるのを見ればわくわくする。→回転寿司
ただこの類似という発想方法で注意なのは、100%転用するわけではないということ。
(ほかの企業の)この投稿がバズったから、同じようにこの投稿もバズるはずだ!と思ってまんま転用するのではなく、自社の文脈や、自社の顧客のインサイトを加味して企画を考える必要があります。

⑥仮説
「これが意味することは」でつなぐ発想法。
例:リンゴが木から落ちた→「これが意味することは」地球に引力があるのではないか。
体系的に考えると、「驚くべき事実X」が観察された。→これが意味することは「説明仮説Y」が成り立つのではないか。ということ。
これはインサイトを見つけるときに役に立つ発想法だなと思ってて、日ごろ事象となぜそうなのかの仮説というのは観察しながら過ごしてると良いというのはよく聞きますが、なかなか一人だとできなかったり、継続できなかったりしますよね。
なので、個人的には友達やパートナーとの散歩がおすすめです。普段自分が出会わない事象に出くわしたり、普段全然違う仕事や生活をしている人の仮説はそれだけで自分にとっての気づきになったりします。

⑦仮想
「もしも」を考えてみる発想法。
あえて、自分の立ち位置から離れ、別の場所、人格に視点を移動して考えてみることで、新たなアイディアが生まれることがあります。

⑧逆転
「逆に」の発想で180度逆を考えてみる発想法。
PRの考え方のPRIMPAKTの「Inverce」ということで良く語られますよね。
なにかをひっくり返して考えてみるという発想法。
例えば「マックとは昼食べるものである」→逆に朝食べても良いのでは?
→「朝マック」のように、僕はいつも当たり前をまずはひっくり返すようにしています。
なので、定説だったり、みんなが当たり前だと思っていることをまずは少なくとも10個くらい書き出して、「逆に?」と自分に聞きながらひっくり返していきます。そうすると意外と2割から3割くらいの確率でアイディアのタネが出来上がります。

クリエイティブジャンプは誰もが使える

以上が、壁を突破するブレイクスルーの具体的な方法ですが、この本の中で僕が個人的にもっと勇気づけられた2つのことをまとめて終わりたいと思います。

①企画で一番大切なのは志

この本の中で企画で一番大切なのは、志だと書かれていました。

 始めから描く未来図の志が低いと、ブレイクスルーの飛距離も小さくなってしまい、スケールの小さい解決策しか思いつかないのだそうです。

前職の総合広告代理店にいた頃、上司に「まずはスケールの大きなアイディアから考えたほうが良い」と教わりました。

どのくらいのスケール感というと、「(課題が解決されるという前提はありますが)ジョニー・デップをアサインしてCMを作る」くらいのスケール感です(笑)

そこから実行に向けて調整をしていく。

この考えは今もとても自分自身大事にしている考え方ですが、この考え方に似ているなと思いました。

課題の奥にどれだけ大きな問題意識を発見してチャレンジできるか。

ということを提案するときに、考えてみたいなと思いました。

②クリエイティブジャンプは限られた人だけが扱える魔法ではない

もちろん優れたクリエイティビティには、もって生まれたセンス、磨かれた経験が大いに影響するが

クリエイティブジャンプは限られた人だけが扱える魔法ではない

と本書では書かれていました。

ジャンプである限り、必ず踏み切り点と着地点がありそれらの距離は離れてはいるけれども、

その思考の跳躍の間はつながっていて、

創造的な発想は、既存の知識から、細く曲りくねってはいても、

なんらかの「つながり」をたどって生まれるものであり、

誰でも行っていることなのであると。

思考の跳躍の間はつながっている。という表現が個人的にはとても好きでした。

自分の中で思考や想像を重ね、発見を探し、最後は具体案をひねり出す。そうして、壁をブレイクスルーできるよう何度も何度もこの思考法を練習していきたいなと思いました。

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