前回：社会人になってから免許を取る奴はあほ、とも言い切れない。②

入社してからというもの、新しい知識や経験が私の中に濁流のように流れ込んできた。
怠惰をむさぼっていた私も例にもれず、しっかりとその流れに飲み込まれ、怒涛のように日々が流れすぎていく。
休日は疲れ果て、なんだかんだで理由をつけて教習所に行かない週が続いた。

いつも頭の片隅によぎり続ける、運転免許の４文字。
そしてそれを払いのけ続ける私の攻防戦は、数か月続いた。

しかし、逃げてばかりはいられない。
6 月上旬のある日、ようやく私は気が付いたのだ。

仮免許の期限は 9 月 20 日。
冷静に数えてみよう。最短でも
技能講習 10 回＋学科 5 時間＋効果測定＋卒検。
その後に、免許センターで試験、と。

残る休日、残り12日。
「あれ、これは本当にまずいのでは…？」

私は震えた。

私は改心した。

そこから先の土日は、すべて教習所に向かった。
まずは残っている学科を優先的片付ける。その合間に技能講習。

平日だって戦いは続いている。
余裕がなさ過ぎて、学科試験は絶対に一発合格しなくてはならない。
通勤電車の中で、教習所の学習システムにアクセスして勉強をした。
MUSASHI という eラーニングシステムである、これは良い。

未だ学科試験では紙のマークシートだが、学習システムと予約システムだけはやけに IT 化が進んでいるもので、なるほど、教習所もシステム化に向けて頑張っているようだ。
おっと話がそれた。

効果測定前日は本当に肝が冷えた。
さながら「絶対合格」というハチマキを巻いて頑張る受験生。
試験前は緊張しすぎて
「落ちたら30万、落ちたら30万…」
などと意味の分からない言葉をトイレの中でぶつぶつと呟き、清掃員に変な目で見られた。

休日なんかねえ！週 7 で動き続けろ！！
外に出たくないだあ？なら 30 万をもう一度払うんだな？
30 万で月にたった 8 日の怠惰を買うのか？そのために残りの 20 日を働いているんか？？
ちーがーうーだーろーちがうだろーー！！！！！
自分で自分を叱咤し続ける日々。

ついでに会社の同期からも毎日のように煽られ続け、私の精神はズタボロになった…ということはなかったのだが、逃げずに通い続けられたのは、彼らが毎日煽ってくれたおかげもあるだろう。
ありがとう同期のみんな、様々な言葉で散々私を煽ってくれて。

そんなこんなで9月19日。
有給休暇を取得して免許センターに向かった私は、数時間後無事に
普通自動車第一種運転免許（AT限定）を取得した。
免許証の写真には納得していないが、まあそれは多めに見よう。

このエピソードを通して、私が学んだことはつまりこういうことだ。

ギリギリでいつも生きていてはならない。
Real Face を歌って良いのは KAT-TUN だけ。

思えばいつもギリギリを生きていた。身をもって反省している。
あの地獄の日々を乗り越え、私は”計画を立てる重要性”という、社会を生きていく上で必要な、至極当然の事を学んだ。
長々と書いてそんなことかよ、と思った？私もそう思う。
しかし当然は大事だ。

また、この経験は仕事にも活かされている。
計画ギリギリになってしまった時に、きちんと危機感を感じることができるようになったし、その計画を自分なりに分析して
「次はこうしたらもっと良くなるな」
と考える癖もついてきた。まじめだ。

ついでに、副次的なものではあるが、土日にきちんと活動していたおかげで、生活習慣の乱れが矯正され、平日朝起きる時の苦痛がいくらか和らいだ…気がする。

そんなこんなで、社会人になってから免許を取る奴はあほ、とも言い切れない。

運転免許と同時に、”計画性”と”健康な生活習慣”を手に入れたのだから、むしろお得なものだ。

まだ、運転免許をお持ちでない皆様。
是非休日を使って取得してみてはいかがでしょう。
きっと、免許証以上の素敵な何かを手に入れられるはずです。

※ちなみに、まだ自宅の車庫入れがうまくできません。